個社では対応困難な水産調達課題に、水産流通企業が結束して挑むための協働プラットフォームが日本で初めて始動しました。

株式会社シーフードレガシー(代表取締役社長:花岡和佳男、所在地:東京都港区)は、10月2日、日本国内の水産物関連企業7社が参加する「責任ある水産物調達ラウンドテーブル(The Japan Responsible Seafood Roundtable)」の立ち上げを発表しました。本ラウンドテーブルは、個社の努力だけでは解決が難しい水産物調達の課題に対し、企業間の協働による解決を目指すものです。

<背景>
近年、海洋資源の持続可能性やサプライチェーンにおける人権・環境課題への関心が高まる中、水産物を取り扱う企業には「責任ある調達」の取り組みが強く求められています。
しかし、個別企業のみでは対応が困難な課題も多く存在します。こうした状況を受け、日本の水産流通企業が一堂に会し協働する枠組みとして、本ラウンドテーブルが設立されました。
<ロゴマーク>

<目的>
本ラウンドテーブルは以下の3つを目的として掲げ、参加企業による実践を促進します。
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メンバーである企業による人権デューデリジェンスのシステムおよび実践手法の整合性を担保し、優先される社会課題に対する解決インパクトを図れるよう、実効性ある協働体制を整える
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メンバーである企業による環境デューデリジェンスのシステムおよび実践手法の整合性を担保し、必要な環境改善インパクトが生まれるよう、客観的かつ実効性ある協働体制を整える
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メンバーである企業が国際的な規範に則した「透明性があり、相互運用可能な水産物トレーサビリティ」を確保する上で必要な課題に対し協働で取り組みを進める
これにより、参加企業が自社の調達方針の実装を通じて日本の水産業界における責任ある調達の普及・定着を進め、国際的に推進されている活動との足並みを揃えながらグローバルな課題解決への貢献も目指します。
<取組内容>
本ラウンドテーブルでは、以下の重点課題に取り組みます。
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人権デューデリジェンス実践
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環境デューデリジェンスの実践
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透明性あるトレーサビリティの実装
<今後の展望>
2025年10月に活動を開始し、メンバー企業間での情報共有・協働アクションを進めつつ、2026年には共通ガイドの作成を目指します。さらに、より多くの企業やステークホルダーの参画を呼びかけ、日本から世界へ責任ある水産物流通の拡大を推進していきます。
参加企業のコメント(会社名50音順、敬称略)
株式会社セブン&アイ・ホールディングス セブンプレミアム開発戦略部
生鮮マーチャンダイザー 馬渕 悠人
小売業として、持続可能な水産物を調達していくことは社会的責任であり、消費者の信頼にも直結する重要な課題です。今回のラウンドテーブルに参加される企業の皆様とともに、水産業界全体で人権・環境への配慮やトレーサビリティの向上に取り組み、協働による実効性ある仕組みづくりを進めてまいります。これにより、持続可能な水産物の普及と国際的な課題解決への貢献を目指していきます。
株式会社ニッスイ サステナビリティ推進部 部長 西 昭彦
ニッスイは、水産・食品メーカーとして、海の恵みを未来につなぐ責任を果たすため、持続可能な調達の実践に取り組んでいます。本ラウンドテーブルが、企業や業界の枠を越えた協働の場として、課題解決に向けた具体的な行動を生み出し、責任ある水産物流通の新たな潮流を築くことを期待しています。
マルハニチロ株式会社 サステナビリティ戦略部 部長 佐藤 雄介
水産資源は、極めて重要なたんぱく源として消費者の期待が大きな食材である一方で、IUU漁業対策、トレーサビリティの確立、人権侵害対策といった困難な課題も内包しています。これらの解決には水産物を調達する同じ想いを持つ企業が共に考え、協議し、行動していく、非競争連携の取り組みが不可欠です。マルハニチロは、この困難な課題解決に皆様方と共に挑戦、共創し、サステナブルで責任ある水産物調達を実現してまいります。
<株式会社シーフードレガシーからのコメント>
株式会社シーフードレガシー 代表取締役副社長 山内 愛子
日本でMSC(海洋管理協議会)のCoC認証取得事例が出てから約20年がたち、日本企業による持続可能な水産物調達の取り組みも一定の進展が見られるようになりました。一方で、フルチェーントレーサビリティの確立や水産業における人権侵害といった新たな国際的課題への対応も求められるようになり、水産物調達のあり方は新たな局面を迎えています。こうした課題は国内外での連携なくして進展が難しく、日本の水産市場が真に解決に貢献するためには連携をサポートする仕組みが不可欠となっています。シーフードレガシーは、日本企業の取り組みが実質的な課題解決に繋がることを目指し、責任ある水産物調達ラウンドテーブルを立ち上げ、共に責任を果たすべく尽力していきます。