日曜日, 6月 16, 2024
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牛のゲップによるメタンガス排出削減に向け「カギケノリ」の共同研究を開始

商業規模でのカギケノリの生産に向け3者が共同研究

海藻スタートアップの株式会社サンシキ(本社:東京都渋谷区、社長:久保田遼)は、理研食品株式会社(本社:宮城県多賀城市、社長:宮澤亨)および高知大学(海洋植物学研究室 平岡雅規教授)との共同研究契約を2024年5月20日に締結しました。サンシキはカギケノリを配合した飼料サプリメントの開発に取り組んでおり、高知大学の持つ種苗技術と理研食品の持つ陸上養殖の知見を活用して、早期の商品化を目指します。

タンク培養したカギケノリ
共同契約を締結した3者(左から サンシキ代表取締役 久保田、高知大学 平岡教授、理研食品原料事業部長 佐藤陽一氏)

カギケノリについて

 カギケノリは熱帯から温帯の海域に広く生息している、紅藻類に分類される海藻の一種です。牛の飼料に0.2%混ぜて与えることで、メタンガスの排出が最大98%減少することが確認されています※1。
 そのため、カギケノリを配合した飼料は畜産による温室効果ガス排出量を削減する可能性を秘めており、世界のスタートアップ企業や研究機関がカギケノリの大量生産技術の確立を目指して研究を進めています。
 当社は、今回の3者の取り組みがカギケノリの生産に革新をもたらし、畜産業界の持続可能性に貢献していくものと期待しています。

サンシキについて

 日本の海藻テクノロジーを使って、世界に海藻ベースの製品を届けるスタートアップです。
https://www.sunshiki.com/

研究の背景について:反すう動物によるメタン排出

 牛などの反すう動物の胃に存在する微生物は、消化分解と同時にメタンを生成し、それらは主にゲップとして大気中に排出されます。メタンは二酸化炭素の28倍の温室効果があり、世界に数十億頭いるとされる反すう家畜によって排出されるメタンは、世界の温室効果ガス総排出量の約5%(CO2換算)を占めるとされています※2 。気候変動を抑制するため、一部の国では畜産業由来の温室効果ガス排出の削減目標が設けられるなど、解決策が求められています。

3者の関係について

 サンシキと高知大学は既にカギケノリの培養技術の確立に成功しています※3。また、高知大学と理研食品は2018年から両者が参画していたJST-OPERAプロジェクトにおいて、緑藻ヒトエグサの陸上養殖を可能にする種苗生産技術を開発する※4など、良好な関係を築いています。

※1 Robert D. Kinley, et al. "Mitigating the carbon footprint and improving productivity of ruminant livestock agriculture using a red seaweed". ScienceDirect. 2020-06.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0959652620308830

※2 IPCC 第6次報告書 第3作業部会報告書P66
https://www.ipcc.ch/report/ar6/wg3/downloads/report/IPCC_AR6_WGIII_FullReport.pdf#page=78

※3 サンシキと高知大学、畜産由来のメタンガス削減に効果的な海藻「カギケノリ」の生産に関する成果を学会発表
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000139115.html

※4 理研食品と高知大学、ヒトエグサの種苗生産技術を確立 安定生産に向けた陸上養殖生産の実証試験を開始
https://www.rikenvitamin.jp/news/detail/20240311161229.html

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