土曜日, 4月 20, 2024
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新しいMSC漁業認証規格の発行により漁業の持続可能性を促進

MSC(海洋管理協議会)は、漁業を対象とする持続可能な漁業認証のための国際規格の改定版を発行しました。このMSC漁業認証規格第3.0版は、海洋科学と漁業の最優良事例にのっとった、これまでで最も包括的な見直しを経て発行されたものです。

MSCの最高責任者ルパート・ハウズは、過剰漁獲や気候変動、生物多様性の損失によって、漁業、海洋生態系、食料システムへの圧力が増す中、新しい規格のために知見を提供いただいた水産業界、漁業管理者、環境保護団体、および科学者による貢献に対し、深い感謝の意を表しました。ハウズはまた、この規格の新たな要求事項は、漁業の持続可能性を促進し、増加し続ける世界の人口に食料を供給しながら、海洋の保護という待ったなしの急務に対処するうえで助けとなるものであると述べました。

新しい漁業認証規格の発行によって、MSC「海のエコラベル」を付けて販売される水産物を漁獲するMSC認証取得漁業は、持続可能な漁業を牽引するリーダーであり続け、海洋生物と水産資源、生態系の保護にさらに貢献していくことになります。また、新しい規格は、より明確で理解しやすい文言で書かれており、複雑さも軽減されています。

新しい規格では、絶滅危惧種・保護種(ETP種)が新たな定義で区分されており、その保護の強化につながります。また、認証漁業においてシャークフィニング(サメのヒレを取り、残りの部位を海に廃棄する行為)が行われていないという確証をさらに高めるための新たな方針を導入するとともに、海に流出または廃棄された漁具、いわゆるゴーストギア流出の防止とその影響を軽減するために、認証漁業に対してより主体的な管理を求めています。さらに、漁業の適切なモニタリングと監視、特に公海での操業に関する要求事項の強化、そして複数の国をまたいで共有される水産資源を保護するための漁獲戦略の国際合意を強く求めています。

新しいMSC漁業認証規格は、漁業、海洋保全、認証制度、水産物についての専門知識を持つステークホルダーから寄せられた600件以上の意見を検討し、4年以上に及ぶ調査、公開協議、模擬審査を経て完成しました。

MSCの最高責任者のルパート・ハウズは、次のように述べています。

「新しいMSC漁業認証規格は、増え続ける世界人口に食料を供給する一方で過剰漁獲に終止符を打つ必要性がこれまでになく高まっている状況下で発行されました。持続可能な漁業は、漁業者、政府、科学者、環境保護団体、小売業者、水産企業、そして消費者それぞれが担うべき役割がある国際的な取り組みです。新しい規格の策定に際し、時には意見を異にするステークホルダーの皆さまからも意見をいただき、規格の策定に多大な貢献をしていただいたことに、身が引き締まる思いです。ステークホルダーによる深い関与は、海洋を保護し、将来にわたって水産物の供給を確保することが必要だという切迫した共通認識によるものであり、また、ステークホルダーの関与を通じてこの変革を加速させるためにMSCが果たす役割を認識いただいていることの表れだと思います。新しいMSC漁業認証規格は、持続可能性における世界的リーダーである漁業を確実に認知し奨励することにより、漁業が実質的かつ持続的に変化していくための世界基準を提供しています」

現在、530を超える漁業がMSC漁業認証を取得しており、世界の天然魚介類の総漁獲量の15%を漁獲しています。しかし、世界の水産資源の3分の1以上が過剰漁獲されていることにより、海からもたらされるはずの経済的利益が毎年889億ドル相当失われています。また、海洋生物の約20%が絶滅の危機に瀕しており、漁業で生計を立てる人々や経済界とともに、水産資源と海洋生物多様性を守るためにさらなる取り組みが必要です。

この問題に対処するために、MSCは2030年までに世界の天然水産物の漁獲量の3分の1以上をMSCプログラム参加漁業(※)によるものにするという目標を掲げ、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援することを約束しています。今回のMSC漁業認証規格第3.0版の発行は、こうした取り組みの基盤となるものです。
※MSCプログラム参加漁業とは、認証取得、認証一時停止中、認証審査中漁業を指す。

注記:

MSCはWWF(世界自然保護基金)と消費財大手ユニリーバとの話し合いにより構想が発案され、1998年にMSC漁業認証規格の第1版が策定されました。規格は、国連食糧農業機関(FAO)の「責任ある漁業のための行動規範」に基づいています。これにより、天然魚介類を対象とするMSC認証取得漁業および認証水産物の販売者は、その水産物が確実に持続可能であることを実証することができます。MSC認証の取得により、水産物にはMSC「海のエコラベル」を付けて販売することができるため、漁業者や企業が認証を取得する動機づけとなります。

MSC漁業認証規格は、FAOの「水産エコラベルガイドライン」や、国際社会環境認定表示連合(ISEAL) の要求事項に沿って定期的に策定や見直しが行われます。

MSC漁業規格第3.0版は、2023年5月以降、初めて本審査に入るすべての漁業に適用されます。既に認証を取得している漁業については、漁獲戦略への新しいアプローチの早期適用を選択する場合を除いて、新しい規格の適用までに最大6年間の猶予が認められます。

MSC漁業認証規格3.0版について詳しくは以下をご覧ください(英語)。
https://www.msc.org/standards-and-certification/fisheries-standard

MSC(海洋管理協議会)について

将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度と水産エコラベルを通じて、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際的な非営利団体です。本部をロンドンとし1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所をおき世界中で活動しています。MSCジャパンは2007年に設立。MSC「海のエコラベル」の付いた水産品は世界約100カ国で51,000品目以上、日本では1,100品目以上が承認・登録されており、イオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、西友、ライフ、マクドナルドなどで販売されています。
持続可能で適切に管理された漁業のためのMSC漁業認証規格は、世界で広く認知されており、最新かつ確実な科学的根拠に基づき策定されたものです。漁業がこの規格を満たすためには、(1)水産資源が持続可能なレベルにあり、(2)漁業による環境への負荷が抑えられており、(3)長期的な持続可能性を確実なものにする管理システムが機能していることを、第三者審査機関による審査を通じて実証することが求められます。

詳しくはMSCウェブサイトをご覧ください:https://www.msc.org/jp

MSC「海のエコラベル」について

MSCの厳格な認証規格に適合した持続可能な漁業で獲られた水産物にのみ認められる証、それがMSC「海のエコラベル」です。

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