2025年9月27日(土) 【場所】RSKイノベイティブ・メディアセンター
一般社団法人海と日本プロジェクトin岡山は、9月27日(土)海についてもっと知ってもらうためのイベント「海のフォーラム&マルシェ in RSK」を開催いたしました。トークイベントには、海にまつわるゲストとして、日本財団常務理事 海野光行さんや田村亮さん、髭男爵の山田ルイ53世さんなどをお迎えし、来場者の海への関心をかきたてました。このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

イベント概要
・開催概要:能楽堂ホールtenjin9で行われた海のフォーラムでは、午前にトークセッション『海の“今”を知る~「食」と「ごみ」から考える私たちにできること~』を、午後に『さかなのおにいさん かわちゃん おさかなクイズショー&デカルコマニーをつくろう!』を開催。また、屋外では、海を感じる店舗を集めた海のマルシェを開催しました。
海を守るために自分たちに何ができるかを考えるためには、まずは海について知ること。今回のイベントでは、トークセッションやワークショップ、グルメを通して来場した皆さんに海に目を向けてもらうきっかけを提供しました。
・日程 2025年9月27日(土)
・開催場所:RSKイノベイティブ・メディアセンター(岡山市北区天神町)
・参加人数:約1,000名
海のフォーラム『海の“今”を知る~「食」と「ごみ」から考える私たちにできること~』
テーマは、海の“今”を知る。まずは海について知ることから始めようというトークイベントです。
ゲストとして、田村亮さん、髭男爵の山田ルイ53世さん、日本財団常務理事の海野光行さんを招き、
オープニングトークからスタートしました。
■オープニングトーク「“海の神秘”~海のことをどれだけ知っていますか?~」
出演:一般社団法人海と日本プロジェクトin岡山代表理事 藤井 浩樹さん(岡山大学教授)
日本財団常務理事 海野 光行さん
田村 亮さん
山田ルイ53世さん(髭男爵)
進行:RSKアナウンサー 岡田 美奈子
伊原木知事のビデオメッセージでスタートしたオープニングトーク。まずは、なぜ海の今を知ることが必要なのかについて話しがありました。
山や森など、変化が目に見える陸と違い、変化が見えにくい海の中。山火事は知っていても、海底の
サンゴ礁の白化や、海の栄養が減っていること、住んでいる魚が変わってきていることなどは、ほとんど知られていないのが現状です。目を凝らすだけでは見えない海の“今”を、少しでも知ってもらうことが今回のねらいとなります。
日本財団で海に関するプロジェクトを3万件以上手がけてきた海のスペシャリスト海野光行さんによると、海のことはたったの1割程度しかわかっていないとのこと。いきなりの衝撃の事実に来場者とゲストから驚きの声がもれました。海野さんからは、海の神秘として海の最新トピックをご紹介いただきました。
①海洋生物調査 “オーシャン・センサス(Ocean Census)”
日本財団とNekton財団によって2023年に設立された未知の海洋生物発見のためのグローバルイニシアチブ。北西アフリカ沖に位置するカナリア諸島で行われた探査の紹介。見たこともない雪男のような毛むくじゃらのカニや、新種のウニ、何か全く分からない生物など、海野さんの未知の情報と田村亮さん、山田ルイ53世さんの絶妙な掛け合いに、会場は大盛り上がりとなりました。未知の海洋生物というと海底深くをイメージしがちですが、実は身近な浜にもいる可能性はあるという話にも、来場者の方々は興味を持っているようでした。
②海底で見つかったレアアース「マンガンノジュール」
南鳥島近海で見つかった「マンガンノジュール」の紹介。リチウムイオン電池などに欠かせないコバルトなどのレアメタル多く含む丸くて黒いまるでおはぎのような物体は、数百年以上もの間海の底に眠り続けていたとのことです。しかも、驚くほどゴロゴロとたくさん。今後どのように活用されていくのかへの期待が膨らむ発見でした。
③知られざる深海の謎「暗黒酸素」
海底において光合成とは異なる方法で生み出される謎の酸素「暗黒酸素」の研究を紹介。解明されれば、学校の教科書が書き換えられるだけでなく、地球における生命の誕生と発展の研究に新たな可能性が生まれるかも!?
「見えない海の中で、そんなことが起きているなんて」「全く知らない話で、海に興味が沸いた」「海の見方が変わった」など、来場者の方々も驚きを口にしていました。
海の“今”を知る。来場者の海への関心をかきたてる、今回のトークセッションにぴったりなオープニングトークとなりました。

■第1部 「食から見る海の変化~どうなる未来の海の幸~」
出演:日本財団常務理事 海野 光行さん
田村 亮さん
岡山県水産研究所 高木 秀蔵さん
岡山県農林水産部水産課 西林 伸さん
進行:RSKアナウンサー 岡田 美奈子
第1部では、我々にとって身近な「食」から海の変化に迫りました。まずは、海野さんから日本全国で起きている海の異変についての話がありました。ズワイガニとは違うオオズワイガニの大量発生や、イセエビの関東東北への進出、ブリの北上など、食べていた魚にも海の変化に伴って変化が起きているようです。
そんな中、日本財団では、海洋変化対応プロジェクトを立ち上げ、よりリアルな情報収集と分析に取り組んでいます。現場モニタリングは、全国の漁業者たち、分析・調査は、東京大学大気海洋研究所が担当し、それぞれが連携して行うプロジェクトで、全国の漁業者自身がモニターとなることで、今までになかった現場のデータ収集が可能となったということです。まずは、何が起きているかを知ること。どう対応するかを考える上で、今回の現場データの収集・分析は重要なものとなりそうです。
岡山の食の変化ということで、岡山県水産研究所と岡山県水産課の職員からの報告も行われました。
・瀬戸内海のデータ紹介。海水温の上昇だけでなく、海の透明度が上がっていることが問題に。透明度が上がる=栄養塩が減っている=プランクトンが減って生き物が減る。につながる。
・瀬戸内海は陸に囲まれた閉鎖性海域のため、外洋の影響を受けにくく、人の生活や経済活動の影響を受けやすい。特に3つの大きな川が流れる岡山はそれが顕著。人と海との関わり方が重要になる。
・岡山では、海の資源を人の手で守っていくために海の環境を整える取り組みが盛ん。その一つとして、漁業者主体で始まった「アマモ場の再生活動」を紹介。
最後に、海と関わりがある漁業者ではなく、海との関わりが少ない私たちにできることについて西林さんから提案がありました。それは、「地元の魚を食べること」。スーパーで地元の魚を探すことで、「食」から海の変化に目を向けることができるとのことです。
今回はおすすめの地元の魚ということでクロダイをご紹介いただきました。昨年のFish-1グランプリで準優勝した「クロダイのなめろう丼」を海野さんと田村さんが試食。「くさみがなく、おいしい」「やわらかくて食感もいい」。少なくなったものに目を向けるだけでなく、今、多く獲れる魚のおいしさに気づくことも私たちにできることです。
クロダイのなめろうは、ゲストだけでなく来場者の皆さんにも配られ、実際に食べてみる大切さを感じていただきました。

■第2部 「海ごみ」はどこから来るのか~解決に向けて必要なこと~
出演:一般社団法人海と日本プロジェクトin岡山代表理事 藤井 浩樹さん(岡山大学教授)
山田ルイ53世さん(髭男爵)
おかやま海ごみゼロ大作戦中高生実行員会 藤原 伶奈さん
おかやま海ごみゼロ大作戦中高生実行員会 入野 弥桜さん
進行:RSKアナウンサー 岡田 美奈子
海洋ごみはどこから来るのか。その7割~8割は陸から来ると言われています。実際に海洋ごみ清掃を行った写真からもペットボトルや食品容器、缶など生活ごみの多さに気づかされます。
第2部では、実は身近なごみが海に流れ着いているという現状とともに、それを回収するための活動について紹介しました。
・日本財団と岡山・香川・広島・愛媛の瀬戸内4県からなる「瀬戸内オーシャンズX」の活動紹介
・県内の様々な中高生が運営するおかやま海ごみゼロ大作戦中高生実行員会の活動紹介
おかやま海ごみゼロ大作戦中高生実行員会からは、藤原さんと入野さんに登壇いただき、自分たちの活動についてや、活動を通して感じていることなどを伝えてもらいました。
「海洋ごみの問題はこれから先ずっと取り組まないといけない課題。だからこそ、若い世代が中心になって活動を広げながら、年配の方にも安心して、楽しく参加していただけるようにしていきたい」
「ごみ問題は一人で解決できることではなく、多くの人と協力してこそ変わっていくもの。これからも一度きりで終わらせるのではなく、続けていくことで関心を深め、仲間を増やし、社会全体にも少しずつ良い影響を与えていきたい」
若い世代が、実際に活動を通して感じていることの言葉の強さは、ゲストや来場者に伝わったと思います。ありがとうございました。

「海の“今”を知る」をメインテーマに掲げた今回のトークセッション。海について知らないことが多いことは「OCEAN BLINDNESS(オーシャンブラインドネス)」と言われています。海野さんによると、「OCEAN BLINDNESS」は、大きく3つに分かれるそうです。
無知/未知:海について知らないこと。海を知らないということは、問題だけでなく、可能性も知らない、ということ。まずは知ることから。
無関心 :そもそも関心が無いと知ろうとも思えない。無関心をなくしていくことが必要。
無視 :海の問題を知った上で無視すること。知ったら、何ができるか考えることが重要。
今回のイベントが、海についての新しい情報を知り、海に関心を持ち、自分たちにできることを考えてもらうきっかけとなることを願っています。
参加者の声
・イベントを通して、自分が海について無知だと思った。今回、身近なものから海の問題を知ることができたので、自分にできることから始めたい。
・クロダイが思っていたよりもおいしかった。まずは、帰りにスーパーに寄って、どんな魚が多く売っているか、そもそも地元の魚があるかを見てみたい。
・若い世代の清掃活動を聞いて、何もしていないことが恥ずかしくなった。ごみを拾うなど、ちょっとしたことからでも始めていきたいと思う。
・海の最新トピックが知らないことだらけで楽しかった。海の可能性を感じた。
海を感じる店舗が大集合!海のマルシェ
会場の外では、海のマルシェを開催!海のフォーラムで紹介したクロダイを使ったメニューや、寿司のキッチンカー、とれたての海の生き物と触れ合えるタッチングプールなどが集まりました。
家族連れ向けのワークショップ「さかなのおにいさん かわちゃん おさかなクイズショー&デカルコマニーをつくろう!」も開催。見て、触れて、遊んで、食べて。海の魅力や恵みを再発見してもらえるイベントとなりました。



<団体概要>
団体名称:一般社団法人海と日本プロジェクトin岡山
URL:https://okayama.uminohi.jp/
活動内容:海と日本PROJECT in 岡山では、美しい岡山の海を次世代につなぐことを目的に、
海についての理解を深めるイベントや、海に造詣が深いキーマンのメッセージなどをRSKの
テレビ・ラジオ番組で紹介するほか、独自のイベントを企画・運営し、「岡山の海」の魅力を
広く県民に発信していきます。

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。