〜水稲など69作物の収量や品質を評価する圃場試験を通じ、持続的な収益性の向上を目指す〜

株式会社AGRI SMILE(以下AGRI SMILE、本社:東京都千代田区)は、全国32都道府県、100の農業協同組合(以下、JA)において、農林水産省のガイドラインに準拠したバイオスティミュラント資材の導入および検証を開始いたします。多様な土壌や気候条件に対応した試験を全国規模で展開し、JAネットワークを活かして資材の経済性を実践的に検証することで、資材の農業現場への広範な普及を目指します。
使用するバイオスティミュラント資材は、農林水産省が本年5月30日に策定した「バイオスティミュラントの表示等に係るガイドライン」に準拠しており、当社が代表を務める「バイオスティミュラント活用による脱炭素地域づくり協議会(Expert COuncil for Low carbon Agriculture in Biostimulant technology、以下、Eco-LAB)」が策定・公表した自主規格※1の試験方法および判定基準を満たす資材です。本規格は、農業現場においてバイオスティミュラント資材を利用するために使用者が求める資材の基準を定めるものです。今回の資材導入と検証は、この自主規格に適合した資材を用い、費用対効果を国内最大規模で検証することが特徴です。
※1:AGRI SMILE(2025年4月)「日本初、バイオスティミュラント資材の適正利用に関する自主規格を公表」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000039438.html
■背景
近年、日本の農業現場は農業従事者の減少や生産コストの高騰、さらに気候変動に伴う高温障害や環境ストレスの増大など、多くの課題に直面しています。そのため、全国各JAや農業者にとって、持続可能な農業生産と農業所得の安定・向上は、より一層重要な社会的課題となっています※2。
こうした課題への解決手段として、海外では、「バイオスティミュラント」を活用した農業が普及しています。バイオスティミュラントとは、植物への接触によって刺激を与えて、植物が自ら作用を促す資材で、すでに欧米諸国では広く利用されており、世界のバイオスティミュラント市場は年間平均成長率(CAGR)約12%と拡大を続けています※3。
一方、日本国内ではこれまで、バイオスティミュラントに関する効果評価・商品表示・選定基準が明確になっておらず、JAや農業者が正確な情報を得て適切な資材を選びにくいという課題がありました。こうした状況を受け、農林水産省は本年5月、資材の表示や効果の根拠を示すための基本的な指針として「バイオスティミュラントの表示等に係るガイドライン」を初めて正式に公表しました。
これを踏まえ、AGRI SMILEが代表を務めるEco-LABは、2025年4月、産地やJA、農業者と連携し、現場が求める実践的かつより具体的な基準として国内初となる自主規格を策定・公表しました。この自主規格の特徴は、農業現場において、バイオスティミュラント資材の効果を発揮させる条件の判断基準に役立ててきたもので、バイオスティミュラントの使用者が求める資材が満たすべき基準となっています。今回の取り組みでは、全国100JA規模でこの自主規格を満たした資材を導入し、実践的な検証・評価を行います。
※2:農林水産省(2021年5月)「みどりの食料システム戦略」 https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/
※3:MarketsandMarkets(2025年4月) 「Biostimulants Market」https://www.marketsandmarkets.com/Market-Reports/biostimulant-market-1081.html
■概要
検証内容
農林水産省のガイドラインに示されている「植物体内で起こる反応」および「安全性」があらかじめ確認されたバイオスティミュラント資材を用いて、圃場試験を実施します。検証作物は全国合わせて69種あり、最も多いのは水稲、続いて大豆、馬鈴薯です。特殊な農作物をのぞき、ほぼ全ての作物について1種あたり3地域以上での検証が行われています。
検証期間
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2025年4月〜12月(順次開始)
主要参加産地
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きたみらい農業協同組合(北海道、タマネギ、馬鈴薯、白花豆、ビート、水稲等)
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更別村農業協同組合(北海道、馬鈴薯、大豆、小豆、金時豆、ビート等)
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道央農業協同組合(北海道、ブロッコリー、レタス等)
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全国農業協同組合連合会岩手県本部(岩手県、ピーマン、リンゴ、リンドウ等)
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みなみ魚沼農業協同組合(新潟県、水稲、スイカ等)
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とぴあ浜松農業協同組合(静岡県、馬鈴薯、セルリー、小松菜、輪菊、みかん等)
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愛知みなみ農業協同組合(愛知県、輪菊、キャベツ、ブロッコリー等)
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全国農業協同組合連合会岐阜県本部(岐阜県、水稲、キャベツ、ホウレンソウ等)
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山口県農業協同組合(山口県、ピーマン、キャベツ、アスパラガス、イチゴ等)
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熊本市農業協同組合(熊本県、トマト、ナス、大豆、水稲、みかん、メロン等)
検証方法
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圃場試験
・ 圃場試験では、実験室試験で特定したバイオスティミュラントの効果が最⼤となる条件を用いて、バイオスティミュラントを施用する区画(施用区)と、未施用の区画(対照区)を設定し、その他の条件を揃えて実施します。
・ 収量や品質を評価する定量的な指標を設定し、生育調査・収量調査を行います。測定されたデータは統計学的手法を⽤いて有意差を検証します。 -
実用化に向けた総合評価
・ 圃場試験で得られたデータをもとに、経済性および作業性を評価し、実用化の可能性を総合的に検証します。
※参考情報:農林水産省のガイドラインに基づいた検証済事項
⚪︎植物体内で起こる反応は、実験室試験において、遺伝子発現解析や植物体の元素解析などの科学的評価(バイオインフォマティクス)を用い、客観的に評価しました。
⚪︎安全性の確認は、植害試験やラット等を用いた毒性試験を行い、農作物およびヒトへの影響がないことを証明しました。
■今後について
今回の検証を通じて、全国の産地における多様な品目の地域適応性を、実証データに基づいて定量的に明らかにしてまいります。
AGRI SMILEは、検証から得られた成果や知見を積極的に発信し、農業者の皆さまが科学的根拠と実績データに基づいて安心して資材を選べる環境づくりを進めます。また、資材事業者との連携を通じて、自主規格を満たす高品質な資材の普及に向けた情報共有や意見交換を行い、市場全体の品質向上に取り組みます。
さらに、全国のJAと協力しながら、バイオスティミュラント資材を活用して日本農業の生産性向上と持続可能な発展を支援するとともに、農業生産現場の課題解決ならびに農家所得の向上に貢献してまいります。
以上
株式会社AGRI SMILEについて
AGRI SMILEは、「テクノロジーによって、産地とともに農業の未来をつくる」を経営理念に据え、豊かな経験を持つ産地と、進化を続けるサイエンステクノロジーを融合することで、環境に優しい魅力あふれる農業の実現に取り組んでいます。
国内最大規模の産地ネットワークを活かし、データサイエンス技術による農業DXソリューション、最先端バイオテクノロジーによる生産技術、産地のブランディング支援などを展開しています。また、技術創出の源泉であるアカデミアの交流を活発化するプラットフォームを提供し、社内外で技術を連携させています。今後も、産地と調和した革新的なサービスを通じて、笑顔(SMILE)のある未来を創造し続けてまいります。
【会社概要】
代表者:代表取締役社長 中道 貴也
事業内容:農産業DXサービス、脱炭素に資するバイオテクノロジーの開発及び提供
設立:2018年8月31日
所在地:〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目28-5 Axle御茶ノ水
会社URL:https://agri-smile.com/
【本プレスリリースに関するお問い合わせ】
株式会社AGRI SMILE publicity@agri-smile.com
(上記内容は断りなく変更される場合がございます。最新情報は上記までお問い合わせください。)