木曜日, 5月 1, 2025
ホーム商品サービス木材製品のCO2排出量をサプライチェーンで可視化する!岐阜県「白川LSC」が取り組む、木材の環境性能に対して責任ある行動。

木材製品のCO2排出量をサプライチェーンで可視化する!岐阜県「白川LSC」が取り組む、木材の環境性能に対して責任ある行動。

東濃ひのき製品流通協同組合(代表理事:田口房国)は白川ローカルサプライチェーンの協力事業体と連携し、岐阜県白川流域での木材生産全体のCO2排出量を可視化する取り組みを開始します。

背景

地球温暖化や海面上昇など現実に影響が出てくるなど、将来的に社会活動が脅かされる事態を想定して、世界でカーボンニュートラルへの取組みが本格化しており、日本でも例外なく環境意識は高まり続けています。

今や無視できない環境問題に木材業界はどのような方向から貢献していけるのか、当組合では2020年のウッドショックを皮切りに模索し続けてきました。そこで、環境に関して意識を持つうえで基本的なことである、自社の製造・販売過程におけるCO2排出量を把握することから動き始め、白川流域から生産される木材を、これからも自信をもってユーザーの皆様に届けるために、白川ローカルサプライチェーン(Local Supply Chain:以下、白川LSC)を構築している川上・川中の事業体と協同組合で連携を取りながら、CO2排出量の把握に努めていきます。CO2排出量から環境問題へのアプローチを白川LSCに賛同する川下事業体も含め実践していきます。

白川LSCとは

「伐って→使って→植えて→育てる」という持続可能な山の営みを考えると、現在の木材価格では利益が山元に還元されておらず、さらには林業従事者不足が大きな課題となっています。また、国産材の原木や製品の価格、供給量はコントロールできない状態の中で、木材業界には常に供給不安がつきまとっています。
 こういった現状を危惧して、2021年、岐阜県の白川流域を中心とした思いを同じくする川上・川中・川下の木材関連事業者が協定を締結し、白川LSCと名付けました。締結以降、樹種・規格・品質・量・価格・期間の取り決めをして木材の流通を行う需給調整会議や情報交換を3ヶ月に1回行っています。白川LSCを構築することで白川流域の木材の安定需給と持続可能な林業、木材業の確立を目指しています。

岐阜県の白川流域で独自のサプライチェーンが始動『白川LSCシステム』(令和3年12月発表)

「木材は環境に良い」は本当?

「木材は環境に良い素材です」というPRをよく目にしますが、この表現は正確ではないと私たちは考えています。樹木がCO2を吸収し炭素として貯蔵することで地球環境保全に貢献することは広く知られているところですが、木材製品として利用する場合、山林の伐採から始まっていくつもの加工を経て最終製品になるまでの生産過程においてCO2は排出されています。遠距離の移動や特殊な加工をすることでCO2排出量が増大し、そのような木材を使うことがかえって環境負荷になってしまっていることもあり得ます。それを承知で消費者が購入するのであれば問題はありません。問題は、生産過程におけるCO2排出量を示さずに、「木材を使う」=「環境に良い」とミスリードしてしまっているのではないか、ということです。

 環境貢献のことを考えるのであれば、木材製品ごとにCO2固定量と生産過程におけるCO2排出量を比較できなければなりません。仮に固定量より排出量が上回ったとしても、他の素材に比べて木材の方がより環境負荷が少なければ木材を使うべきであると言えるでしょう。外国産の木材と国産材の比較、または同じ国産材であっても生産地から消費地までの距離や生産工程の比較によって、環境貢献に対する度合いが全く違うということを示していくことは、私たちの木材業界の義務であると考えています。

 白川LSCでは木材製品ごとのCO2排出量を明記することで、その製品の環境性能の判断に役立てていただきたいと考えています。

モニタリングシステムの導入の背景・目的

 以前はCO2排出量をモニタリングするのには多くの費用と手間がかかっていたため、小規模零細企業には導入することが困難でした。しかし現在は比較的安価にモニタリングできるサービスが誕生してきたことで、それを活用してCO2排出量を明記することが可能となりました。今回、白川LSCではe-dash株式会社が提供するCO2排出量の可視化・削減サービスプラットフォームである「e-dash」を利用しています。

 電気やガス等のエネルギーの請求書をアップロードするだけで、事業を通じたCO2排出量(Scope 1・2)を自動で簡単に算出するなど、計算の手間を削減しながら正確なデータを蓄積できる仕組みとなっており、サプライチェーン排出量(Scope 3)についても、ソフトウェア上で手軽に算出・可視化が可能であるため、このサービスを利用してサプライチェーン全体のCO2排出量を算出しています。

 これまでは木材の含水率や曲げ強度を測定し表示する”性能表示”に取り組んできましたが、さらにCO2排出量と固定量を明記する”環境性能”を加えることで、安心安全で地球環境にも優しい素材として木材利用を推進していきたいと考えています。

白川流域産材でCO2排出量を算定する場合の業種内訳

今後の展望

今後白川LSCに参画する事業者からは納品書等には、それに至るまでのCO2排出量を明記していきます。※明記に関しては各社開始時期が異なります。

また、その後の取り組みとして以下の展望を持っています。

  • 白川LSCへの参画事業者を増やし、環境性能を明記することを標準化していく。

  • 1社ごとのCO2排出量の精度を向上させるとともに、サプライチェーン全体で排出量削減を行う。

  • 環境貢献に取り組む企業等との連携を模索する。

  • 環境貢献に寄与したいと考える消費者(企業含む)に適切な木材製品を届ける。

  • 第三者による認定等、取り組みのスキームを補完する。


プロジェクトリーダーのコメント

 私がこの取り組みをしたいと思ったのは、ある大手雑貨販売企業の案件を見積もらせてもらった時でした。全国にある商品棚を国産材に転換したい、ということでしたが、残念ながら見積もり合わせで他社に負け、受注することができませんでした。それ自体は仕方がないことですが、違和感を感じたのはそこで判断材料になったのが単価だけであったことを知らされた時でした。

 発注者である企業は”環境貢献のため”に大きな予算を組んで国産材に転換を決断していただいたのに、実務ベースでは単に単価の高低で使用する木材を選択しているという現状。発注企業さんの思いを私も含め、業界全体で裏切っている気がしました。

 以前から木材製品のCO2固定量を明記する取り組みを自社でしていたのですが、固定量自体は地元の木材でも地球を1周回ってきた木材でも、同じ木材なら変わりません。それが本当に地球環境に貢献しているかを示すにはCO2排出量も明記しなければいけないと思っていました。

 しかしこれも自社だけでは大した意味をなしません。サプライチェーン全体が取り組む必要性が出てきます。今回、賛同協力していただいた事業体の皆さんのおかげで晴れて白川LSCという枠組みでCO2排出量を明記していく取り組みを始めることができ、とても感謝しています。

 この仕組みはまだまだ不完全です。もっと数値の精度を上げる必要がありますし、第3者機関による認定等も取れる仕組みにしていかなければなりません。しかし、まずは一歩を踏み出したことはとても大きな変化であると思っています。

 このような取り組みが木材業界全体の取り組みとなって、木材利用やそれに伴う森林整備が真に地球環境に貢献するものとなることを願っています。

東濃ひのき製品流通協同組合 代表理事 田口房国

東濃ひのき製品流通協同組合 代表理事 田口房国

取組賛同事業体の紹介:令和7年4月時点

加子母森林組合【川上・素材生産/原木市場】

岐阜県東部に位置する中津川市加子母は、古くから林業が盛んで、東濃桧や伊勢神宮式年遷宮材料の産地として有名です。当森林組合は「美林萬世之不滅」を組合理念とし、日々組合員所有山林を中心に最低限の林業機械のみを使用することにより、1本1本丁寧な選木・伐採・集材・造材に心がけ施業に取り組んでいます。

所在地:岐阜県中津川市加子母4872-5

設 立:昭和3年(1928年)

組合HP:http://www.fa-kashimo.jp/

SNS: InstagramFacebook

担当者:参事 安江恒明  TEL:0573-79-3333 

東白川村森林組合【川上・素材生産/原木市場】

東白川村森林組合は、岐阜県加茂郡東白川村を拠点とする森林組合です。 村の総面積8,709haに対して、89%が森林でそのうち73%がヒノキとスギの人工林です。 地域経済は原木市場、製材工場、プレカット工場、産直住宅といった一貫した木材流通が 形成されており、森林組合はこの流通において重要な役割を担い、森林の適切な管理と保全 に努め、高品質な「東濃ひのき」を生産し供給しています。また、2003年より国際的な森林 管理認証制度(FSC®認証)の森林認証も取得しており、地元の森林資源を活用し持続可能 な林業の発展を目指して活動を続けてまいります。

所在地:岐阜県加茂郡東白川村越原46-1

設 立:昭和16年(1941年)

組合HP:https://www.vhigashi-s.org

担当者:参与 今井克幸  TEL:0574-78-2009

南ひだ森林組合【川上・素材生産/原木市場

岐阜県下呂市の森林は、地域の自然環境を支える貴重な資源です。森林率は約92%と非常に高く、豊かな森が広がっています。当組合では、森林所有者様の森林管理を一括してサポートし、木材の搬出から販売までを手掛けています。地域林業と森林環境を守る担い手として 森林を守り育てる事は、木材の利用からと考え、地域の木材利用者さんと建築用材以外にも、合板用 材、ラミナ用材、パルプ用材、バイオマス用材等への利用促進、未利用材を減らす努力により「守り、 育て、使う」を進めています。

所在地:岐阜県下呂市乗政25番地1

設 立:平成11年(1999年)

組合HP:https://minamihida-f.org/

SNS: Instagram

担当者:共販課長 日下部康行  TEL:0576-26-3551

東濃ヒノキ白川市場協同組合【川上・素材生産/原木市場】

「木を伐り、木を売り、森を守る」

森林所有者(出品者)と製材建築業者(買方)を仲介する木材市売販売組合です。 令和元年度より素材生産部門(林産部)を設け、地域の東濃ヒノキの良材を多く集荷し、素材生産につとめています。

所在地:岐阜県加茂郡白川町三川1399-3

設 立:昭和59年(1984年)

組合HP:https://tounouhinoki.webnode.jp/

SNS: Instagram

担当者:市場長 大岩均 

    TEL:0574-72-2345 FAX:0574-72-2520

株式会社 東桧【川中・製材】

「木が好きで 木は面白い」

こんな気持ちで家造りのお手伝いをしています。製材業を起業して9年。機械乾燥が主流のこの時代に天然乾燥で東濃桧の梁桁、柱を生産しています。

所在地:岐阜県加茂郡白川町三川2714-1

設 立:平成28年(2016年)

会社HP: http://tono-hinoki.jp/archives/member…

担当者:桂川恒裕 TEL:0574-72-2872 FAX:0574-72-2872

東白川製材協同組合【川中・製材】

当組合は、地元産出材である東濃ひのきの製材工場です。東白川村は、東濃ひのきという良材を算出する名産地でもあり、古来より林業が盛んに営まれた林業先進地です。わたし達は地域林業の中核を担うものとしての責任を自覚するとともに、消費者の皆様のもとへ優良材をお届けできますよう頑張っています。

所在地:岐阜県加茂郡東白川村神土2594-1

設 立:平成6年(1994年)

組合HP:https://www.e-hinoki.com/

担当者:工場長 今井一平

    TEL:0574-78-2118 FAX:0574-78-3888

株式会社 山共【川中・製材】

「自然と人とをつなぐ日本一の製材会社になる」

製材の仕事は自然物を人工物に変える仕事です。そういう意味では自然と人を繋ぐ役割を持っていると言えます。私たちは時代の変化に合わせ、常にお客様のニーズにお応えできる製材品を生産しながら、一方では長期にわたる森林のあり方、または地域のあり方を考えて業務を行なっていきます。

所在地:岐阜県加茂郡東白川村越原976-10

設 立:昭和30年(1955年)

会社HP:https://yamakyo.com/

SNS: Facebook

担当者:安江志保 TEL:0574-78-2516 FAX:0574-78-2236

東濃ひのき製品流通協同組合【川中・木材加工】

当組合では、地域材をはじめとした岐阜県産の建築資材を生産・配送できる体制を整え、岐阜県加茂郡白川町周辺の木材流通の拠点を担っています。また、間伐材小径木の加工、木質系廃棄物を再資源(チップ)化して燃料として販売するなど、木材のカスケード利用に努めています。資源を無駄なく利用することで森林資源の循環利用と、地球環境への貢献を目指しています。

所在地:岐阜県加茂郡白川町三川1539番地

設 立:昭和63年(1988年)

組合HP:http://tono-hinoki.jp/

SNS: InstagramFacebook

担当者:坂井梨奈 TEL:0574-72-2577 FAX:0574-72-2677


白川LSC(Local Supply Chain) 概要

関係地域:白川流域(加茂郡白川町、東白川村、中津川市加子母)、または周辺地域

設立時期:令和3年(西暦2021年)12月

活動内容:三カ月に一度の原木需給調整会議、協力業者間の情報交換等

東濃ひのき製品流通協同組合 概要

所在地:岐阜県加茂郡白川町三川1539番地

代表者:代表理事 田口房国

設 立:昭和63年9月(1988年)

事 業:地域材の製造・流通(建築用構造材が主)

    外構土木資材の製造(小径丸太加工、防腐防蟻剤圧力注入加工等)

    一般・産業廃棄物(木くず)のチップ化・販売

組合HP:http://tono-hinoki.jp/


【本件に関するお問い合わせ】

東濃ひのき製品流通協同組合  担当者: 坂井 梨奈

TEL: 0574-72-2577

FAX: 0574-72-2677

MAIL: sakai.t0n0hinoki@gmail.com

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