〜藻場保全でウニの価値向上を目指す「環境回復型漁業」へ〜
株式会社UMITO Partners(本社:東京都中央区、代表取締役:村上春二)と北るもい漁業協同組合焼尻支所(所在地:北海道羽幌町)は、2025年4月、ウニの品質向上を目的とした藻場保全・再生プロジェクト「焼尻UNI-MOBAサステナブル漁業プロジェクト(注1)」を始動しました。
本プロジェクトは、北海道焼尻島において、藻場の保全・再生を通じて島の重要な産業であるウニ漁業の持続可能性を高めるとともに、生態系の健全化とウニの価値向上を目指す取り組みです。

プロジェクト発足の背景と狙い
北海道北西部・日本海に浮かぶ焼尻島(羽幌町)は、島の直径約3.5km、人口160人程度の小さな離島です。豊かな自然に恵まれ、島全体が国定公園に指定され、好漁場として知られる武蔵堆(むさしたい)にも近く、水産資源にも恵まれています。
漁業は島の基幹産業で、特にウニ漁は島の約20名の漁業者全員が従事する重要な漁業です。天然の藻場で育つキタムラサキウニやエゾバフンウニの品質は近隣の地域と比べても高く評価されています。
しかし近年、気候・海況の変化や人為的な影響で、ウニの餌場となる藻場が衰退。これに伴いウニの身入りや品質の低下がおこり漁業の経済性にも影響がでています。
こうした状況を受け、UMITO Partnersと焼尻支所は、漁場の基盤生態系である藻場の保全・再生を通じてウニの身入り改善と生物多様性への好影響をもたらすことを目指し、本プロジェクトを立ち上げました。これにより、経済活動の場としての漁場と、生態系を支える海洋環境の持続可能性の両立を図ります。
プロジェクトの概要
本プロジェクトでは、以下を中心に取り組みを行います。
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ウニの身入り改善を目的とした藻場の保全・再生
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環境DNAなどによる科学的な生態系把握
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ブルーカーボンクレジットなどのブルーファイナンスの導入
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取り組みのPR・発信
UMITO Partnersは、海洋・水産領域での専門知見とネットワークを活かし、プロジェクト全体の設計・推進、科学的・経済的な知見の提供、関係者との合意形成支援、ならびに広報・PRを担当します。焼尻支所は、プロジェクトの実行主体として、地域内外の関係者と協力して活動を行います。
今後の展望
今後は、藻場保全・再生活動によって固定されるCO₂を「Jブルークレジット®」として可視化・経済化する仕組みを活用し、環境価値を生み出す活動への資金確保や、漁業者の新たな収益源へとつなげることを目指します。あわせて、保全活動から生まれる付加価値を活用し、焼尻島産ウニをサステナブルな食材としてブランディングすることで、環境に配慮した漁業が正当に評価・認知されていく流れをつくり、持続可能な漁業を支える機運を地域から広げてまいります。
支援企業の募集
本取り組みでは、活動への技術支援や協賛、企業のCSR活動との連動などの企業パートナーを募集しています。ご関心のある企業様はご連絡ください。
メッセージ

「海の変化に直面し、その危機を最も強く感じているのは、現場の漁業者です。UMITOは、これまで培ってきた専門知識とネットワークを活かし、焼尻島の持続可能な漁業モデルの創出を支えます。サステナブルな漁業の実現のため、漁場の保全に取り組む漁業者が、社会に認められ、応援される、そんな循環が当たり前になる未来に向けて、これからも、現場と共に一歩ずつ歩んでまいります。」
― 株式会社UMITO Partners 代表取締役 村上春二

「UMITO partners様をはじめ関係機関の協力のもと、焼尻島のニーズにあった『焼尻スタイルの藻場再生』を実現するため浜の総力をあげて取り組みます。」
― 北るもい漁業協同組合焼尻支所 代表理事 斉藤尚弥
北るもい漁業協同組合焼尻支所について
■組織名:北るもい漁業協同組合 焼尻支所
■URL : https://www.gyokyo.net/
■所在地:北海道苫前郡羽幌町大字焼尻字東浜375
■代表者:代表理事組合長 佐藤満
■設立:2004年1月
■事業内容:焼尻島周辺での漁業活動の支援・管理
UMITO Partners(ウミトパートナーズ) について
「ウミとヒトが豊かな社会の実現」をビジョンに掲げ、海の回復力を高めるべく、持続可能(サステナブル)な漁業・養殖業への転換と海のネイチャーポジティブを推進する海洋コンサルティング事業等を実施。2023年4月には、国内水産業界で初めて社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対するアメリカ発の国際的な認証制度「B Corp認証」を取得。
■会社名:株式会社 UMITO Partners
■URL:https://umitopartners.com/
■所在地:東京都中央区日本橋小舟町14-7
■代表取締役:村上春二
■設立:2021年6月1日
■事業内容:
海洋領域におけるシステムチェンジ / 漁業・養殖業の改善・認証支援/ 海洋生態系と生物多様性の保全 / ブルーファイナンス支援 / 気候変動対策支援 / 再生可能エネルギー関連支援 / サステナブルシーフードの企画・流通支援 / 水産・海洋テックの導入と実証支援
■漁業・養殖業コンサルティング支援実績:
MSC漁業認証取得支援:中西部太平洋カツオ・キハダマグロのまき網漁業 / 岡山県瀬戸内市邑久町垂下式カキ漁
ASC認証取得支援:熊本県天草市マダイ漁業(AIPからの移行) / 宮城県女川町ギンザケ漁業(AIPからの移行)
サステナブル漁業プロジェクト:北海道苫前町ミズダコ樽流し漁業(FIP) / 広島県倉橋島垂下式カキ漁業(FIP) / 北海道マイワシサステナブル漁業(FIP) / 宮城県気仙沼ヨシキリザメ・メカジキはえ縄漁業(FIP) / 千葉県船橋市東京湾スズキまき網漁業(FIP) / 和歌山県那智勝浦町ビンチョウマグロはえ縄漁業改善プロジェクト(FIP) / 熊本県天草市マダイ漁業(AIP) / 宮城県女川町ギンザケ漁業(AIP)
(注1)サステナブル漁業プロジェクト:
持続可能な漁業・養殖業を実現するための改善活動。資源管理や環境保全、社会的配慮などに取り組むプロジェクトであり、国際的にはFIP(Fishery Improvement Project)やAIP(Aquaculture Improvement Project)などが重要視されグローバル市場における調達基準として注目を集めている。