日曜日, 11月 24, 2024
ホームイベント〜「海を味わう」の現在地〜 をテーマに海と食の未来を考えるイベント「海のごちそう?フェスティバル2024」を開催しました

〜「海を味わう」の現在地〜 をテーマに海と食の未来を考えるイベント「海のごちそう?フェスティバル2024」を開催しました

一般社団法人 海と食文化フォーラムは、2024年11月9日(土)・10日(日)に、「食」を入り口に海と人々をつなげるイベント「海のごちそう?フェスティバル2024」を東京ミッドタウン(東京都港区)にて開催いたしました。地球温暖化の影響に伴う海水温の上昇、魚種変換、磯焼けなど、近年起こっている海洋環境の変化に適応する知恵として「日本の海の食文化」を今一度多角的に捉え直し、ステージイベントや企画展示、マルシェ販売、キッチンカーなどさまざまな切り口で「海と食文化」について考えるきっかけづくりになるよう、来場者に呼びかけました。

このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

海のごちそう?フェスティバル公式ホームページ:https://shoku.uminohi.jp/gochiso-fes/

<「海のごちそう?フェスティバル2024」とは?>

「海のごちそうフェスティバル」は、海のストーリー・背景を伝え、食を通じて多くの方に海に興味関心をもってもらう試み「海のごちそうプロジェクト」の集大成として、2021年から開催している海と食の一大イベントです。4年目となる今年は「海のごちそう?フェスティバル2024」というタイトルで、東京・港区の複合施設「東京ミッドタウン」にて開催。

今この時代において「海を味わう」「海の恵みをいただく」ということを改めて考え、海と私たちの関係の“現在地”を食から見つめ直す。「現在、海に何が起こっているのか、何を食べているのか、食べていないのか。これからどう『海と食』に向き合っていくのかを考え、海の問題を問い続けていく。」イベント名の「?」にはそんな想いが込められています。

モデル・タレントの藤井サチさんがご登壇!海のごちそう?ステージ

海洋環境変化に対応する知恵としての“海の食文化”を見つめ直すことで未来を考えるステージイベントを実施。

初日のステージを飾ったのが、interfmのラジオ番組『OCEAN BLINDNESS 〜私たちは海を知らない?〜』の公開収録として番組MCでモデル・タレントの藤井サチさんと、日本財団の海野光行さん。

『私たちは美味しい魚の食べ方を、知らない?』をテーマにした前半ゲストとして登壇した“食の伝道師”こと、近藤一樹さんから「海を味わう技法」の紹介とそれにちなんだ試食が紹介されました。 

藤井さんのもとには「締める」の試食として「真鯛の昆布締めの握り」と「サーモンの塩締めの握り」が登場。一口で真鯛の握りを食べた藤井さんは「昆布がすごい!おいしい!醤油いらないですね!はじめて醤油なしで握りを食べました」とその味わいに興奮した様子。

他にも「燻す」の試食として、【鰹のみ】【鰹と昆布】【鰹と昆布とアジ】の3種類の出汁の飲み比べを体験した藤井さん。近藤さんからは「鰹だけでも美味しいが、二つ目の鰹と昆布は、イノシン酸とグルタミン酸が掛け合わさり、両方の良い部分が混ざり合って〈一番出汁〉と呼ばれる。三つ目にはそこに加えて、ムロアジの雑味が加わり酸味が出てくるので、うどんや蕎麦の出汁に合う味わいとなる」と解説。

「ライフスタイルの変化に合わせて、海の食文化はどう適応していくべきなのか」という海野さんの質問に対し、近藤さんは「普段の食生活の中で、和食があっても洋食があっても中華があっても良い。ただこれまで長い時間をかけて培われてきたこの海の食文化を絶やさないということが大事。今日紹介した4つの技法も含め、漬ければ日持ちするし、お弁当にも入れられるよねといった形で、ご家庭の中で作られていけば食文化としても継続する。栄養面でも実務面でも幅広く取り入れられるのが海の食文化かなと思います」と締めくくりました。

後半は『煮干しって、海のごちそうになるの~?』をテーマに、サステナブル料理研究家のサカイ優佳子さん

がご登壇。「乾物」を今の時代に合わせてどんな風に食べていけばいいかを提案しているサカイさんから、「煮干し」の奥深い世界について紹介されました。出汁を取った後の煮干しでも美味しい料理になることを、藤井さん、海野さんが実際の試食メニューを食べながら体験しました。

〈出汁殻の煮干しを使ったバーニャカウダ〉
〈トマトジュースで戻した煮干しのオリーブオイル焼き〉

コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスが重要視される現代のライフスタイルの中で、「煮干し」のような伝統的な食材を新しい食べ方で取り入れていくことの意味について、サカイさんは「煮干しは日本の伝統食材ですが、出汁を取るだけで終わらせてしまうのではなく、今のライフスタイルの中でどんな風に食べられるか、いろんな調味料や料理の知恵を活かすと、同じ食材でも全く違う使い方ができるんじゃないか、これからの未来に向けて、温故知新の考えで新たな可能性を探っていけたら楽しいと思います」と語りました。

「海を味わう技法」スペシャリストが「海の食文化」を熱論

ファシリテーター:近藤一樹さん

【締める】小島誠さん 【干す】平塚聖一さん 【漬ける】高木佐知子さん 【燻す】田中祐司さん

それぞれのスペシャリストが極めた「海を味わう技法」に培われた日本人の知恵や食文化の歴史などを紐解きながら、環境変化や現代の食文化=“「海の食文化」の現在地”を見つめなおし、未来に向けどのように適応させ、発展させていくべきかを語り合いました。

スペシャリストそれぞれの立場から、現代のライフスタイルの中で「海の幸を食べる」ということについての意見が交わされ、「締める」「干す」「漬ける」「燻す」それぞれの技法の観点から、日本の海の食文化を振り返りました。これからも海の食文化を引き継ぎ、生活に取り入れていくためのまとめとして、【燻す】の田中さんは「ぜひ一週間に一度でも出汁を取ってみてほしい。そうすればお出汁の味に敏感になって、世の中の和食屋さんのクオリティもグッと上がる」と会場のお客さんに呼びかけました。【漬ける】の高木さんは「料理は味付けの部分でハードルが高く感じるけど、漬けるは家庭でできる手軽な調理法で、漬けた時点で味付けが完結する」と現代のライフスタイルにもマッチすることを伝えました。【干す】の平塚さんは「最近は食べる煮干しなどスナック感覚でつまめるものもあれば、野菜エキスをコーティングしたものなどもあるので、いろんな形で魚に触れたり食べたりする機会を持ってもらいたい」と呼びかけ、【締める】小島さんは、「いろんな食べ物というのは水分から悪くなる。今日紹介した技法はどれも水分を抜く技法です。締めたりや漬けたりというのはそれにプラスの味を加える。どんどんみなさんにもやっていただければと思います」と締めくくりました。

「食べる」だけじゃない 見て・聞いて・感じるステージも

開催2日目はinterfmのラジオ番組「Lazy Sunday〜海のごちそうスペシャル〜」を会場から公開生放送でお届けしました。主催者である一般社団法人 海と食文化フォーラムの富田大智は今回のイベントの目的や趣旨について触れ、「普段当たり前のように海産物を食べてはいるけど、それらの食材が獲れている海に今どういったことが起こっているかということを意識することは少ない。海産物を食べるということを、広い視点から海の食文化として捉え直すことは、これまで培われてきた知恵と技術を引き継ぎ、未来に繋げていくことになる」と語りました。

一般社団法人 日本ソルトコーディネーター協会 

代表理事の青山志穂さん

お塩の魅力は美しい海からできた海の結晶である、ということ!と語り始めた青山さん。自宅には2400種類の塩があり、今回会場に60種類を持参。さっそくそのうちの3種類の味比べをしながら、塩は食材が持っている力を引き出すことをお話されました。また、塩は海洋環境変化の影響を受けるため、生産者さんたちや青山さんご自身もビーチクリーンなどに力を入れていることも語られ、塩への愛が止まりませんでした。

ミュージシャン 小宮山雄飛さん(ホフディラン)

今、一番のテーマは“シーフードカレー”!究極のシーフードカレーを作ろう!がブームになっており、出汁や海産物への研究にはまっていると語る小宮山さん。海洋環境問題の話になると、雨が降り、それが山から川をつたって、片や田んぼから米ができたりお酒ができたり、片や海に流れ込み海産物につながる、と分かりやすく説明されたのち、だからこそ海洋問題は“海”だけを考えればよいのではなく、我々の普段の生活が大事、と語られました。

シンガーソングライターCaravanさん

海が似合う男!と紹介されたのはCaravanさん。田んぼもやっているということから“食べる”話に。だんだん魚が好きになってくる、キャンプに行くと、自分で作ったお米に魚介をたっぷり入れてパエリアを作ったりしている、と語った。海の近くで活動していることもあり、海のごみ、プラスチックごみの問題は散歩をしていても気になっているそうで、田んぼをやっていることからも積極的に里山クリーンに参加されている。山と海は繋がっている、と自然を守る大切さを語られました。

他にも三遊亭朝橘さんによる「海の落語」や、「お魚クイズ大会」で盛り上がりました。

海のごちそう?企画展示:「海を食べる」ってどういうことでしょう?

日本の海の食文化の歴史を紐解きながらこれからを考えるパネル展示を実施しました。

<参加者の声>

・古代からの歴史マップが楽しく、ためになりました。

・世界に誇る日本人の海と食文化の歴史!歴史の視点で切り取ることで、海・食・日本の奥行きを感じました。

・様々な角度から今の海の問題についてよくまとめられていると感じました。今日は子供ときたので、帰宅してからもたくさん会話ができそうです。

・それぞれの展示で新たな発見がありましたが、中でも「おにぎり」は海でできているという観点がおもしろかったです。

海のごちそう?マルシェ:海の変化や課題に対応し生まれた海と食の未来を彩る新しい商品を販売

全国から厳選した水産加工品や海に関連した特産品、全23品を販売。地域が抱える海洋環境変化に適応し開発された新たな商品に込められたたくさんの人の想いが来場者に伝わりました。

<参加者の声>

・あまり馴染みのない魚が多く販売されていたので、普段は捨てられていたり逃したりしているのかなと。調理次第では美味しく食べられると思いました。良い活動だと思います。

・普段魚を積極的に食べない子どもだちが今回マルシェの試食でいろいろ食べて美味しそうにしていました。

・普段、捨てられてしまう魚を活用して、おいしい料理にするのは自然にすごく優しくて環境にも良いので、今後このような活動がもっと広がればいいなと思いました。

海のごちそう?キッチンカー:海洋環境変化に対応する知恵としての「海の食文化」提案

気候変動や海水温上昇などの要因により、その地域でとれる魚の種類が変わったり、海藻が広範囲に消失する「磯焼け」など、私たちの食に直結する問題が全国の海で起きています。

このような「海の課題」を「食」を通して発信し、多くの人に考えてもらうための取り組み「海のごちそう地域モデル」から生まれた、全国4地域の「海を味わう」メニューをキッチンカーで販売しました。

(フード:左上から時計回りにふくナゲット、シーベジたべるフィッシュの漬け丼、アイゴのごまだしうどん、とっとりウニポタージュ)

<参加者の声>

・アイゴのフライ・うどんを食べたけど、ブースの人に背景などを教えて頂いて、味わうだけでなくて学びもできてよかった。

・地方の珍味など、もっと様々な海の幸を食べてみたいと思いました。

・漬け丼の海藻(トッピングののり)が斬新でおいしかった。

海のごちそう?フェスティバル2024 お客様アンケートより

・締める方法や良さ、合う魚などを聞きながら実際に味わうことで、技法や日本財団の活動についてとても興味が湧いた。五感で感じながら知ることで、印象に残り関心を持つきっかけとなった。もっと魚を美味しく食べることを知りたい。

・マルシェを楽しみに来場しました。先にステージを見て時間を過ごしましたが、席から展示エリアの写真やイラストが目につき、このイベントが二日間のみの開催なのが残念に思えました。一週間開催でたっぷり楽しみたいです。マルシェで販売している商品も知ることができてありがたかったです。

・毎分毎分、おいしそう!おなかすいた!と思いました。とても五感に訴えてくるイベントだと感じました。せっかく海に囲まれた日本に住んでいるので、もっともっと楽しもうと思います。

<イベント概要>

日時

2024年11月9日(土)・10日(日)11時~17時 

会場

東京ミッドタウン アトリウム(ガレリアB1)/ コートヤード(ガレリアB1)

内容

<アトリウム>

①企画展示ゾーン

②ステージイベント

<コートヤード>

③マルシェゾーン

④キッチンカー

<団体概要>

団体名称:一般社団法人 海と食文化フォーラム

URL:https://shoku.uminohi.jp/

活動内容:海の問題解決に向けたアクションの輪を広げることを目的として、食文化を切り口にした海洋教育を中心に、海と人とのかかわりについて学び、海洋がもたらす恩恵や未来、さらに海洋の課題について理解を深めるために様々な事業を行います。

日本財団「海と日本プロジェクト」

さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。

https://uminohi.jp/

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