土曜日, 11月 23, 2024
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【鳥羽商船高専】高専初|東海農政局三重県拠点と包括的連携協力に関する協定を締結

情報技術と農林水産業における網羅的ネットワークを掛け合わせて、スマートな技術を活用した農林水産業の普及を目指す

調印後、鳥羽商船高専の古山雄一校長(左)が東海農政局三重県拠点の齋藤繁雄地方参事官(右)と握手を交わす様子

 鳥羽商船高等専門学校(三重県鳥羽市、校長:古山雄一)は、令和6年9月4日(水)に東海農政局三重県拠点と包括的連携協力に関する協定を締結し、協定書調印式を行いました。農林水産省と高等専門学校、および同省の県拠点と高等専門学校がこのような協定を締結するのはいずれも今回が初めてです。

鳥羽商船高専は地域産業の課題解決に取り組んでいる

 三重県は自然豊かな地域で農林水産業は重要な産業です。しかし、担い手不足や環境変化への対応が追いつかない等という問題は持続的な農林水産業を目指している三重県にとって大きな課題になっています。

 鳥羽商船高専の情報機械システム工学科は”ものづくり”の技術者を養成する学科で、教育プログラムのひとつProject Based Learning(PBL)において”ものづくり”を介して地域産業の課題解決に取り組んでいます。PBLは課題解決型学習と呼ばれる学習方法で、自ら課題を発見し、それに対する対策を考えて実行することで課題解決力や実践能力を養うものです。これらの能力は技術者に必須であることから、鳥羽商船高専では1年生からPBLに取り組み、実践的な技術者の育成につなげています。

 これまで鳥羽商船高専はIoT、AIやロボットといった情報技術を活用して農業や漁業の現場における課題の解決策を見出しており、これら技術開発の一部は製品化にも成功しています。このような取り組みが評価され、我々は「Society5.0型未来技術人財」育成事業(GEAR5.0)の農林水産分野における中核拠点校として採択されました。現在は地域産業のさらなる課題解決のための技術開発とその普及にも力を入れています。しかし、技術開発のヒントとなる課題は現場にしか分からないものも多く、これまで以上に農林水産業に携わる人との関係性を幅広く、そして密にする必要があることから、その方法を模索していました。

東海農政局三重県拠点との出会いが地域課題解決の糸口に

 鳥羽商船高専が地域産業に携わる人とのコミュニティ構築方法を模索していたころ、東海農政局三重県拠点との交流が始まりました。東海農政局三重県拠点は地域のネットワークに強く、現状や施策における知識、活動経験が非常に豊富な組織です。新しい農政に沿った様々な施策を行うことにより三重県の地域活性化と農林水産業持続的発展を目指しています。鳥羽商船高専と東海農政局三重県拠点は情報交換や勉強会を何度も実施し、両者が協力することで三重県の地域産業をより一層活性化することができるという共通の考えに至たことから、今回、包括的連携協力に関する協定を締結することになりました。今回のような協定は、農林水産省と高等専門学校が締結するもの、同省の県拠点が高等専門学校と締結するものとして、いずれも全国初のことです。

東海農政局三重県拠点と鳥羽商船高専で実施した意見交換会の様子

官学強力タッグで三重県全体の農林水産業活性化を目指す

 鳥羽商船高等専門学校と東海農政局三重県拠点が包括的連携協力に関する協定を締結することにより、まず次のような取り組みに注力することを計画しています。

<鳥羽商船高専>

スマート農業技術の実証実験、地域課題の発掘と技術開発

例)AIやロボット技術を用いた選果機や防除機による農業の労働支援

例)野生鳥獣による農作物被害の把握とその対策立案

<東海農政局三重県拠点>

実証実験に向けた農家とのマッチング支援、フィールドワークや出前授業による農業への関心向上、スマート農業技術従事者の教育・育成支援

例)スマート農機の実証実験に向けたマッチング支援

例)出前授業やフィールドワークを通した農林水産業の教育

例)スマート農業技術を通した新しい農林水産業への関心の向上

 今後、鳥羽商船高専はこれまでつながりのあった地域コミュニティに加え、東海農政局三重県拠点および同拠点から紹介された農家らと地域産業の現状・課題を互いに共有し、課題解決に向けた技術開発を共に進めていく方針です。

◆鳥羽商船高等専門学校について

 鳥羽商船高等専門学校は明治8年(1875年)に芝新銭座二番地に航海測量習練所として創基し、その分校として明治14年(1881年)8月20日に三重県鳥羽町に鳥羽商船黌として創立されました。日本にある5商船高専のうち最も歴史の古い商船系高等専門学校です。船員を養成する商船学科とエンジニアを養成する情報機械システム工学科の2学科で構成され、科学的思考と高度な知識・技術を習得し、地域社会から世界まで幅広く活躍できる技術者を育成しています。

鳥羽商船高等専門学校の外観(左)と保有する練習船「鳥羽丸」(右)

【学校概要】

学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 鳥羽商船高等専門学校

所在地:三重県鳥羽市池上町1番1号

校長:古山 雄一

設立:1881年

学校ウェブサイト:https://www.toba-cmt.ac.jp/

事業内容:高等専門学校、高等教育機関

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