土曜日, 11月 23, 2024
ホーム商品サービスデータ取得の労力をゼロに!獣害対策用次世代GPS首輪の実証実験に成功

データ取得の労力をゼロに!獣害対策用次世代GPS首輪の実証実験に成功

LTE-M通信で人口カバー率99%以上、太陽電池で長期運用、接近アラートで早期対策:獣害対策に貢献するバイオロギング技術

図1:GPS首輪とアニマルポータルの概要

1.   発表のポイント

・ 国内初!LTE-M通信搭載の獣害対策用GPS首輪を開発

通信エリアの人口カバー率は99%以上のため、GPS首輪の装着後は、労力ゼロでオフィスや自宅で待機するだけでデータ取得が可能。首輪に一定距離に近づいてデータをダウンロードする手間をゼロにし、効率的なデータ管理を実現。

・太陽光発電で長期運用を実現!

   GPS首輪の交換頻度を減らし、費用対効果を最大化。環境負荷も低減。

・接近アラートで早期獣害対策が可能!

   接近アラート機能により、迅速な対応が可能。農作物の早期収穫や、追い払いによる獣害の予防に貢献。

GPSデータで効果的な獣害対策をサポート

   GPSデータにより、群れの移動経路の把握が可能。罠の設置場所、追払いや防護柵等の対策効果を可視化。これにより、低労力・効率的な獣害対策へ貢献。 

  当社のLTE-M通信を搭載したGPS首輪を使うことで、野生動物の追跡をデジタル変革(DX化)し、過疎化が進む地方での獣害対策を省力化できます。また、野生動物と共存を実現することで、地方創生と地方の活性化を目指します。

2.概要

 Biologging Solutions株式会社は、国内初となるLTE-M通信を利用したGPSデータの遠隔取得が可能な獣害対策用GPS首輪の実証※1に成功しました(図1)。

※1 GPS首輪の実証実験は、下記の市町村、研究機関の協力のもと実施しました(実証実験開始順)。

ニホンザル:

  長岡技術科学大学 山本 麻希准教授、新潟県長岡市、新潟県田上町、山口県山口市仁保地域

エゾシカ: 

  酪農学園大学 立木 靖之准教授、NPO法人EnVision環境保全事務所(北海道厚岸町、霧多布湿原)

 近年、国内では地方創生と地域経済の活性化を進めているものの、野生動物による農作物への被害が大きな問題となっています。全国の市町村の85%以上が被害を報告し、令和4年度の被害額は約156億円に上ります。この鳥獣害は、農業の経済価値の低下だけでなく、耕作放棄や離農の増加という社会的影響も引き起こしています。家庭菜園を含む地域社会の利益も損なわれており、地方創生と地域経済の再活性化のためには、効果的な鳥獣害対策が急務です。

 このような背景から、近年、GPS首輪を使用して野生動物の行動を追跡する手法が注目されています。この技術は、個体群管理、侵入防止対策、そして生息環境管理という、鳥獣害対策の3つの基本的な柱に役立つ情報を提供することが可能です(図2)。

図2:鳥獣害対策の3本柱とGPS首輪の有用性

  しかしながら、これまで、野生動物に装着した首輪からGPSデータをダウンロードするには、調査員が受信機を持って装着個体まで近づく必要があり、多大な労力がかかるといった課題がありました。そこで、Biologging Solutions株式会社は、LTE-M通信を使い、GPSデータを首輪から直接クラウドデータベースに送信可能な獣害対策用GPS首輪を開発しました。LTE-M通信は、4G回線の一部の帯域を利用して省電力で通信を実現する、最新の通信規格です。4G回線の人口カバー率は99%以上であるため、獣害が発生している中山間地域等でも運用することが可能です。また、GPS首輪の長期運用を実現するため、太陽電池を搭載しています。取得したGPSデータは、当社が開発した専用の鳥獣害対策総合ポータルサイト(アニマルポータル)で閲覧や分析が可能です(図3)。

図3:アニマルポータルの画面例

 昨年11月から、開発したGPS首輪をニホンザル3個体とエゾシカ3個体に順次装着し、実証実験を行いました。その結果、中山間地域でもLTE-M通信を通じて安定的にGPSデータを取得できることが確認されました。GPS測位の成功率は95%から98%で、森の中でも高い成功率を記録しました。また、GPS首輪に搭載されている太陽電池から順調に給電されており、最も長期間(約7ヶ月半)サルに装着している首輪でも、現在8割以上の電池残量があります。エゾシカは、2024年3月より装着を開始しましたが、太陽電池の発電により電池残量は100%を維持しています。

 実証実験に参加した自治体や大学からは、アニマルポータル上に表示されたGPSデータをもとにサルが良く利用する場所に箱罠の設置できた、アニマルポータルでサルの位置を把握できることで追い払い活動を強化でき、農作物への被害を軽減できた、住民の獣害対策への意識の高まりから鳥獣被害対策協議会への登録者が1.6倍になった、太陽電池による長期運用に期待したい等のフィードバックがありました。

 

3.今後の展望と応用

 現在、ニホンザルやエゾシカに加えて、カモシカを対象とした実証実験も順調に進んでいます。また、今夏からは被害が増加しているクマやイノシシ、キョン等を対象にしたGPS首輪の実証実験も予定しています。さらに、GPS首輪以外にもカワウ用の小型GPSロガーも販売中です。

今後は、アニマルポータルを鳥獣害対策の総合ポータルサイトとして発展させていく予定です。GPS首輪とアニマルポータルを活用することで、獣害対策の効率化や農作物への被害軽減に貢献することが期待されます。

お問い合わせ先:

担当   藤本 詩織(営業部)

メール contact@biologging-solutions.com

TEL    075-746-7858

製品URL:https://biologging-solutions.com/products/application/wildlifemonitoring/

RELATED ARTICLES

返事を書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください

Most Popular

Recent Comments