AI(深層学習モデル)でゲノム編集技術をアップデート
名古屋大学発スタートアップのグランドグリーン株式会社(本社:愛知県名古屋市 代表取締役 丹羽優喜)は、生物系特定産業技術研究支援センター(BRAIN)の、2022年度「スタートアップ総合支援プログラム(SBIR支援)」(以下「本事業」) フェーズ3(事業化段階)に採択されました。本事業により、AI(深層学習モデル)を用いた遺伝子発現強度の予測モデルを構築し、当社独自のゲノム編集技術と組み合わせた新たな育種技術の開発に着手してまいります。
■本件の背景:
食品・農林水産業は温暖化やそれによる異常気象の増加など様々な問題に直面しています。取り巻く環境の変化に対応し、持続的な発展をしてくためには、新たな付加価値を備えた画期的な新品種を迅速かつ持続的に創出していく技術が不可欠です。より迅速に種苗を開発するため、当社では、これまで新たな育種技術の開発に取り組んで参りました。現在、あらゆる作物品種に適用可能なゲノム編集技術(Gene App™および3GE™)を活用した技術提供サービスを行っています。
一方、現行のゲノム編集技術は、効果を予測するのが容易な、特定の遺伝子の機能を損なわせる(欠失)目的で主に使われています。この方法で改良することができる作物の特徴は限られており、植物の基礎研究から得られた遺伝子の機能に対する膨大な知見をフル活用出来ていないのが実情でした。
当社が独自開発した汎用的デリバリー技術「gene App™」、オリジナルゲノム編集kit「3GE (triple GE)™」
で技術提供サービスを展開中
■研究内容:
本事業では、深層学習を用いて遺伝子の発現強度を予測するモデルを構築し、コンピューター内でゲノム編集を行うことで、期待する変化をもたらす遺伝子配列の予測を行います。これにより、ゲノム編集技術を用いて、自然界でも起こり得るわずかなDNA配列の変化を引き起こし、狙った遺伝子の働きを調節することが可能になります。
遺伝子の発現強度予測モデルの構築イメージ
■期待される成果:
本事業で開発する予測モデルにより、多くの遺伝子に対して、遺伝子機能の欠失だけではなく、機能の増強や低減といった調節についても予測することが可能になります。当社の持つ汎用的なゲノム編集技術により予測された配列を実現することで、遺伝子機能の欠失では実現できなかった作物の改良を目指します。これにより、これまでに植物科学分野で蓄積された遺伝子機能に関するあらゆる知見が、様々な作物の品種改良という形で直接的に活用可能になることが期待されます。
■ グランドグリーンとは
グランドグリーンは次世代の食農を創造する研究開発型のアグリバイオスタートアップです。食農分野を取り巻く様々な課題に対するソリューションとして、独自のゲノム編集技術や最新の知見を組み合わせ、新しい作物と生産のあり方を種苗分野から提案します。独自開発したゲノム編集技術の技術提供サービスを展開しており、共同研究パートナーも随時募集しています。
■会社概要
(1)会社名 グランドグリーン株式会社
(2)事業内容 共同研究開発事業 新品種創出事業
(3)設立年月日 2017年4月
(4)本社所在地 愛知県名古屋市千種区不老町1番名古屋大学インキュベーション施設106号室
(5)代表者 代表取締役 丹羽 優喜
(6)URL https://www.gragreen.com/