~生産者とっておきの農作物を、消費者が食べた後に価格を決められる。フェアでインタラクティブな新しい流通の仕組み~
家族農家が持続可能な社会の実現を目指すノウタス株式会社は、生産者とっておきの逸品をストーリーとともに楽しめるECサイト「ノウタスモール」を2022年9月5日にプレオープンしました。
- ノウタスモールとは
ノウタスモールは、生産者のとっておきの逸品を、消費者が直接購入し味わったあとで価格を決めることができる新しい流通の仕組みです。生産者のストーリーと共に味わうことでより満足度の高い食体験にも繋がります。https://mall.notas.co.jp/
農作物の価格の決まり方は非常に複雑なものであり、必ずしも原価や味によって決まるものではありません。そして長年の流通市場の大きな流れの中で固まった相場に変化を与えることは容易ではありません。一方で個人の嗜好性が多様化する現代において、「市場価格」と「個人が感じる価値」にはギャップが発生していると考えられます。我々ノウタス株式会社は、このギャップを埋めることで生産者の持続可能性を高め、各消費者にとって価値のある生産物を持続的に流通させる仕組みが構築できると考えています。
プレオープンの第一号店舗は実証実験でも大好評だった「岡木農園の巨峰、シャインマスカットのセット」からスタートし、熊本のいちご、山梨の柿、老舗の海苔などの隠れた逸品を追加準備中です。同時に運用面の検証を行い、順次規模を拡大していきます。
- ノウタスモール開発のきっかけ
業務提携先の老舗ぶどう農家である岡木農園との会話がきっかけでした。ここ数年間ぶどう業界ではシャインマスカットが隆盛を誇っています。甘さが際立ち、種なしで皮が薄いためそのまま食べられるシャインマスカットは、年々価格と生産量が上昇しています。一方で、ぶどうの王様と言われる巨峰の価格と生産量は年々相対的に下がっており、巨峰の生産をやめてしまう農家も増えています。
しかし巨峰が持つ、深い甘さ・酸味・渋みこそがぶどうの美味しさだという声も多く、その味わいはシャインマスカットに代替できるものではありません。また実を言えば、巨峰の生産はシャインマスカット以上に原価がかかります。美しい色を出すことは職人技ですし、消費期限もシャインマスカットよりも短いためです。このような特性を持つ生産物が市場から徐々に存在感を失っていくことに、生産者は忸怩たる想いを抱えています。
そこで、生産者が直接、消費者に価値を問うことのできるプラットフォームとして「ノウタスモール」の開発検討がスタートしました。
- 巨峰の価値を消費者に問う実証実験
2022年6月、12名の消費者を対象に「巨峰を食べてもらってから価格を決めてもらい、市場価格と比較する」という実証実験を行いました。
ほぼ全ての方が、市場価格よりも高い価格(1.4倍)を決済してくださる結果となりました。また、
「巨峰が濃厚な甘味で、家族全員シャインマスカットより巨峰の方が美味しいとの評価です」
「巨峰を食べたのは久しぶりでしたが、甘さと酸味も少しあって本当に満足できました」
といった巨峰の美味しさを再確認するコメントも多く寄せていただきました。
一方、全国の生産者にヒアリングを重ねる中で、巨峰と同じ課題が、他の農作物や海産物、畜産物においでも起きていることがわかりました。ノウタスモールは順次掲載商品の対象を拡げ、消費者と生産者双方の満足度が高く、持続可能性の高い流通の仕組みを構築します。また、このノウタスモールを、今後ノウタスが開発を予定している家族経営農家のDXを支援するバーティカルSaaS(Farming as a Service)の一部として位置付け、家族経営農家の持続可能性の向上に寄与する考えです。
- ネットプロテクションズの「あと値決め」を導入
味わってから価格を決める決済の仕組みには、業務提携先である株式会社ネットプロテクションズ(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:柴田 紳、東証プライム上場)のポストプライシングサービス「あと値決め」を導入します。
あと値決めは、消費者が実際に体験した「あと」で自ら「値決め」を行うことができる仕組みで、実際にお食事頂いたあとの満足感や生産者への応援といった要素を、価格に取り込むことができます。
▼あと値決めの詳細はこちら
https://pricing.netprotections.com/
※本導入は、長野県で行われた「ノウタスワーケーション」を通じて企画し、決定されました。ネットプロテクションズのプレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000314.000022451.html
- ノウタス株式会社概要
・代表:髙橋明久
・設立:2022年4月4日
ノウタスは、バーティカルSaaS(Farming as a Service)の提供により、異業種のサービスを農家向けに最適化していく(農を足す)ことで、農家の課題を解決する(農を助ける)ことを目指しています。株式会社農情人との業務提携を通じて、NFT、DeFiなどを活用した新たな農業金融の共同事業企画も開始しました。また、兼業農家の積極採用と、SE兼業農家を活用したシステム開発支援も行っています。
デジタルではカバーしきれない農園へのラストワンマイルの取り組みとして、ノウタスは農業関連イベントの企画運営を行うアグリテイメント事業も展開しています。ノウタスが企画し、長野県須坂市後援のもと実施した「ノウタスワーケーション」は、テレビ東京のワールドビジネスサテライトで特集され、令和3年度の食料・農業・農村白書にも掲載。長野県やJR東日本、岡木農園、フルプロ農園、キタイチ果樹園などと実施した「オンライン果物狩り」は、日本テレビの「ひるおび」や、「ズームインサタデー」でも特集されました。愛媛県西条市のSDGsプログラムへの参加、長野県のチャレンジナガノ事業への採択など、活動は全国に拡大しています。
これらデジタル、非デジタル両面からの活動を通じて農業への参入促進、高付加価値化や生産性向上につなげることにより、「持続可能な農業」を実現し、SDGsの達成に寄与します。