2025年9月20日(土) 松ヶ島漁港・あおみな
一般社団法人 海のごちそう推進機構と一般社団法人ODYSSEYは、魚を実際にさばくこと、地域の海洋変化や魚種の変遷を学ぶこと、さらに地域の郷土料理に根差した調理体験など、日本の豊かな海の食文化を継承し輪を広げる取り組み「日本さばける塾 in 東松島」を9月20日(土)に開催しました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

「日本さばける塾 in 東松島」イベント概要
本イベントでは、定置網で獲れた新鮮な魚を自らさばき、漁師めしであるあら汁、煮魚に仕上げます。親子が一緒に体験することで、命をいただく大切さや食の背景にある文化を学び、家庭での食育や環境教育につなげることを目指しています。また、地元漁師や研究者による「海を味わう学びの講座」も実施します。気候変動による魚種の変化や藻場の減少など、東松島の海が直面する課題について、実際の現場の声を交えて学ぶことができます。単なる調理体験にとどまらず、未来の海を守るための気づきを親子で共有できるプログラムです。
日時 |
2025年9月20日(土)4時45分~10時 |
会場 |
・松ヶ島漁港(野蒜海岸) 〒981-0412 宮城県東松島市宮戸松ケ島 ・あおみな 〒981-0412 宮城県東松島市宮戸川原5-1 |
参加人数 |
5組12名 |
プログラム |
1.魚を「獲る」定置網漁見学 大友康広(ODYSSEY・大友水産) 2.魚を「さばく」 大友康広 3.郷土料理を「つくる」漁師めしづくり 大友康広 4.魚の学び講座 成澤みく(ODYSSEY) |
協力団体 |
・東松島市(共催) ・大友水産 |
海と親子をつなぐ、迫力満点の定置網漁体験
まだ夜明け前の4時45分、参加した親子は松ヶ島漁港に集まりました。地元漁師の大友康広さん(大友水産代表・ODYSSEY共同代表)が案内するのは、普段は見ることのできない定置網漁の現場。漁船に乗り込み沖へ向かうと、網を引き上げる瞬間に魚が跳ね、迫力ある光景に子どもたちから歓声が上がりました。みんなで息を合わせて魚を掴もうとする姿は、まさに海と人をダイレクトにつなぐ瞬間。
普段スーパーでしか見ない魚が、「生きたまま水揚げされる」非日常体験は、子どもたちにとって忘れられない学びとなりました。保護者からは「なかなか出来ない体験ができて、とても有意義な時間を過ごすことができました。海が近い環境にいても、生きた魚を触る機会がないので、子ども達もとても喜んでいました!」との声も寄せられ、地域ならではの海の恵みを体感する時間となりました。
こうして、身近にあるはずの海が、実は遠く感じられる存在であることを再認識するとともに、魚を獲ることの大変さと楽しさを親子で分かち合う貴重な時間となりました。

親子で挑戦する、初めての魚さばき体験
海で獲れたばかりの新鮮な魚を前に、参加した親子は包丁を手に「魚をさばく」体験に挑みました。指導するのは地元漁師の大友康広さん。魚の持ち方や包丁の入れ方を一つひとつ丁寧に学びながら、子どもたちは最初は恐る恐る手を動かしていましたが、次第に真剣な表情へと変わっていきました。
自分の手でさばいた魚は、この後「漁師めし」として調理。そのため、参加者は“食べるためにさばく”という実感を持ちながら包丁を握り、いつもより真剣に魚と向き合っていました。
普段は切り身や調理済みの状態で目にする魚を、自分の手で解体していく作業は、子どもにとっても保護者にとっても大きな発見の連続でした。「丸のままの大きな魚を触ったことがなかったので、今回魚の構造を知ることができたのが良かった」といった声も聞かれ、会場は達成感と笑顔でいっぱいになりました。
食卓に並ぶ一皿の背景には、漁師の知恵や手仕事があることを実感し、魚を“いただく”ことの意味や感謝の気持ちを親子で共有する時間となりました。

自分でさばいた魚がごちそうに ― 親子で味わう漁師めしと海の学び
魚をさばいた後はいよいよ「漁師めし」づくり。今回は、漁師ならではの知恵が詰まったあら汁と煮付けを親子で協力して調理しました。魚のうまみがぎゅっと詰まったあら汁の湯気に包まれ、煮付けが出来上がる香りが広がると、子どもたちの表情は一気にほころびました。保護者からも「自身で捕まえた魚を調理し食べることができてとても良かった」「自分でも作ってみようと思いました」との声があがりました。

完成した漁師めしを味わうと同時に、会場では「海の学び講座」も実施。東松島の海で見られる魚種の変化や、環境の変化が漁業に与える影響についての話を聞き、子どもたちが自ら考え、質問する姿が印象的でした。
子ども達の感性や魚、海に対する好奇心を最大限に引き出す、一般社団法人ODYSSEYの教育カリキュラムと本プログラムは、“食べる”という体験を入口に、地域の自然や漁業、環境問題までつながっていることを実感する時間となり、参加者にとっては単なる調理体験を超えた、深い学びと気づきの場となりました。

参加した子ども・保護者からの声
Q. 定置網漁体験のご感想をお聞かせください
・ヒラマサが野蒜沖で獲れるとは思わず驚きました。子どもも喜んでいました。
・なかなか出来ない体験ができて、とても有意義な時間を過ごすことができました。海が近い環境にいても、生きた魚を触る機会がないので、子ども達もとても喜んでいました!
Q. 漁師めし調理体験のご感想をお聞かせください。
・自身で捕まえた魚を調理し食べることができてとても良かったと思います。この貴重な機会を通じ子ども達に良い影響があることと思います。
・スズキの煮付けは初めてでしたが美味しかったです。あら汁も美味しかったです。自分でも作ってみようと思いました。
・私も含めて丸のままの大きな魚を触ったことがなかったので、今回魚の構造を知ることができたのが良かったです。
Q. 次回はこのようなプログラムがあった方がいいなど、リクエストがございましたらご記入ください。
・親子釣り体験などがあると面白そう。
・市場体験。
・釣りをやった事のない人だけが参加できる講座。
・また定置網がいいです。
<団体概要>
団体名称 :一般社団法人 海のごちそう推進機構
URL :http://sabakeru.uminohi.jp/
活動内容 :日本さばけるプロジェクトの運営
(日本さばける塾・YouTube「さばけるチャンネル」の企画・運営などの業務)
団体名称 :一般社団法人ODYSSEY
URL :https://www.odysseynaturejapan.com/
活動内容 :環境教育事業、自然教育事業、漁業研究事業

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。