水曜日, 9月 3, 2025
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大阪・関西万博 北欧パビリオン、自然と技術が出会う北欧発の「食」への取り組み 9/2(火)に「ノルディック・フードデー」を開催

北欧5か国が集結し、シーフードからフードテックまで持続可能な食の未来をつくる北欧の取り組みとイノベーションを紹介

デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの北欧5か国は、大阪・関西万博において共同で「北欧パビリオン」を出展しています。テーマは「ノルディック・サークル(Nordic Circle)~北欧と共に、より良い明日へ~」。未来志向の北欧モデルを紹介する同パビリオンでは、9月2日(火)、北欧の食と食文化に焦点を当てた特別プログラム「ノルディック・フードデー」を開催しました。

■北欧フードフェア:30社以上の北欧を代表する食品関連企業が集結

午前中、グランドプリンスホテル大阪ベイで開催された北欧フードフェアには、北欧5か国およびデンマークの自治領、フェロー諸島から30社を超える食品関連企業が参加。各国の特色ある食産業と最新の取り組みが披露され、実際に手に取った来場者や業界関係者から大きな注目を集めました。

スウェーデンからは、韓国やアメリカでも人気となっているビーガンキャンディ「Bubs(バブス)」を商品に持つのOrkla Snacks や、贈り物仕様の美しいパッケージが特徴の Dream of Swedenのプレミアム菓子を出展。The Swedish Food Federation も参加し、持続可能な農業モデルと国際競争力ある食品産業の姿を紹介しました。

フィンランドは、Valio や Fazer が登場し、抗生物質フリー畜産や世界最高水準の食品安全を誇る乳製品・菓子類を紹介。そしてApetitがバラエティ豊かな冷凍野菜の展開を紹介しました。さらに Nordic Oats や Kinnusen Mylly / 65 Oats が植物性タンパク質やアークティック・スーパーフードの可能性を提示しました。

デンマークは、食品バイオソリューションで世界をリードする Novonesis や、フードロス削減アプリで国際的に注目される Too Good To Go が参加。水産業では グリーンランドのRoyal Greenland とフェロー諸島の Varðin が北大西洋の恵みを活かした高品質シーフードを紹介。

ノルウェーは、「サーモン寿司40周年」をテーマに、日本との食文化交流を祝いました。MOWI、SalMar、Lerøy など世界有数のサーモン生産者が持続可能な養殖の取り組みを発信しました。サーモンを試食した来場者からも、笑顔が溢れていました。

また、NoMy が、日本の発酵文化と北欧のフードテックをつなぐ革新的事例として、麹菌を活用したマイコプロテイン開発を紹介。

アイスランドからは、Icelandic Seafood が再生可能エネルギーを基盤としたクリーンな食品生産を披露。キャビア、サーモン、サバ、赤魚といった幅広いラインナップが並びました。冷たくきれいな海で生産されるシーフードの美味しさと豊かさに舌鼓を打つ来場者も多くいました。

■ランチセッション:北欧から初来日したシェフを迎え、北欧の「食」への取り組みを体験するひととき

午前の北欧フードフェアに続き、昼のプログラムでは「ノルディック・フードデー」の理念を「食」を通して体感するランチセッションが北欧パビリオンの1階の展示室にて開催され、特別ランチが振舞われました。

冒頭、フェロー諸島の外務・産業・貿易大臣 シリド・ステンベア氏 が登壇し、日本の食品の高い品質基準と細部へのこだわりに敬意を表するとともに、「食は文化や価値を伝える最も力強い手段のひとつ」と強調しました。さらに、各国が異なる気候や風土に根ざした食文化を育んできた歴史を振り返り、フェロー諸島独自の自然発酵による保存食文化 ræst (レスト)を紹介。20年前に策定された「ノルディック・キッチン・マニフェスト」がもたらした運動とその国際的な広がりにも触れ、持続可能な未来に向けた北欧の挑戦を語りました。

続いて、北欧閣僚理事会 副事務総長の イダ・ハイマン・ラーセン氏 が登壇。北欧協力の枠組みを紹介し、2030年までに「世界で最も持続可能で統合された地域」になるという北欧首相たちの共通ビジョンを改めて示しました。特に、環境・気候・地域開発分野での具体的な協働を通じ、北大西洋地域の食文化や資源を活かす取り組みを紹介。若手シェフの育成と未利用資源の活用に焦点を当てる「Arctic Young Chef」イニシアチブも紹介され、地域発の持続可能な食の未来像に関心が集まりました。

その後は、当日のランチメニューを手掛けたシェフ、セバスティアン・ヒメネス・ガルシア氏とのディスカッションへ。フェロー諸島・トースハウンのレストラン「Ræst」エグゼクティブシェフであり、伝統的な発酵文化と現代的な感性を融合させる革新者として注目を集める セバスティアン氏 は、今回初来日し、北欧の「食体験」を振る舞いました。メキシコ出身の彼は、自身のルーツを大切にしつつ、フェロー諸島の風土に根ざした食材や保存技術を活かした料理を創り出しており、2023年にはWhite Guide Denmarkにより「ヤング・シェフ・オブ・ザ・イヤー」に選出された気鋭の存在です。

会場では、「北欧・北極圏の食文化が世界にもたらせる価値とは?」「未利用食材に関して、日本から学べることは何か?」といった問いが投げかけられました。

これに対し、セバスティアン・ヒメネス・ガルシア氏は「北極圏の食文化は、自然と共に生きる知恵そのものです。保存や発酵といった技術は“サステナブル”という言葉が生まれる前から受け継がれてきたもので、世界が直面する課題に多くのヒントを与えられると信じています。」と答え、さらに、日本から学べる点については、こう続けました。「日本の発酵文化や食材の使い切りの精神には学ぶべきことが多いです。昆布や味噌、醤油といった発酵の知恵は、私たち北欧の伝統と深く響き合うもの。未利用資源をどう価値に変えるか、その発想は日本から大きなインスピレーションを得ています。」と語りました。

北欧パビリオンのレストランのメニューを監修するフリーダ・ロンゲ氏もスウェーデンから駆け付け、同レストランのヘッドシェフのエリック・フリストフも加わり、来場者にランチを振舞いました。

この対話を通して、北欧の食が持つ「自然とともに生きる知恵」と、日本の食に息づく「緻密で洗練された工夫と技術」が響き合い、両者が出会うことで新しい「食」の可能性が広がっていく、そんな手応えが感じられる瞬間となりました。

■プレスカンファレンス:北欧5か国が示す食の未来

午後のプログラムとして行われたプレスカンファレンスでは、まずノルウェー政府代表 フィン・クリスティアン・オーモット氏が開幕の挨拶に登壇しました。オーモット氏は、日本と北欧の食文化が「自然への敬意」「四季と旬を大切にする姿勢」において共通点を持つことを指摘。長い冬や豊かな海と森に根差した北欧の食文化の背景を紹介し、シンプルでありながら奥深い味わいを持つ北欧の料理哲学を語りました。保存技術や発酵文化といった知恵が、日本の漬物や北欧の塩漬け文化にも通じると触れると、会場の共感を呼びました。

続いて、北欧5か国からそれぞれの食産業を代表するスピーカーが登壇し、各国の特色ある取り組みを紹介しました。

スウェーデンは、植物性タンパク質やオーツを中心とした革新的な製品群から、遊び心あるプレミアムスイーツまで、伝統とイノベーションが共存する多彩な食の魅力を発信。「未来を見据える」「思いやる」「信頼できる」「グローバルに成長する」という4つの視点から、健康志向と楽しさを両立させるスウェーデンの食の姿勢が強調されました。

フィンランドは、清らかな自然と四季の厳しい気候が生む“クリーンアグリカルチャー”を紹介。農薬や抗生物質の使用を抑えた畜産や、オーツ・ライ麦といった北欧ならではの穀物栽培など、自然環境と調和した持続可能な食生産の強みをアピールしました。また、フィンランドとスウェーデンが主導する「Nordic Oats」プロジェクトを日本で展開することも発表され、ヘルシーで環境負荷の少ない食品として注目を集めました。

デンマークは、水産業や食品バイオソリューション、フードロス削減の分野における最先端の取り組みを紹介。Royal GreenlandやVarðin(バーディン)といった企業による持続可能なシーフードの供給、Novonesis(ノボネシス)の微生物技術、Too Good To Goの革新的アプリなど、産業全体を支えるエコシステムが紹介されました。来日したフェロー諸島の外務・産業・貿易大臣による力強いメッセージもあり、北大西洋の恵みを活かした新たな食の可能性が示されました。

ノルウェーからは、世界をリードするサステナブル・シーフード産業に加え、海藻利用や麹発酵によるマイコプロテイン開発といった次世代フードテックが披露されました。120周年を迎える日本との外交関係を背景に、「サーモン寿司」が誕生して40年という節目を振り返りつつ、これからの持続可能な食の未来をともに築く意欲が語られました。

アイスランドは、再生可能エネルギーによる食料生産や魚の副産物を余すことなく活用するゼロ・ウェイストの取り組みを紹介。小規模ながらも高い品質を誇る食文化と、伝統のスキールが現代の健康志向と響き合うことを強調しました。自然・人・イノベーションを結びつけるアイスランドの姿勢は、日本の食文化とも共鳴するものとして紹介されました。

最後に、デンマーク政府代表 スティーネ・グルマン氏が閉会の挨拶に立ちました。グルマン氏は、「食は人と人をつなぐ普遍的な言語であり、価値や信頼を共有する強力な手段」と述べ、本日のプログラムを通じて日・北欧双方の食文化が未来に向けて新たな協力を築いていく可能性を強調しました。また、「今日の対話は終わりではなく始まりです」と締めくくり、次のセミナーへと期待をつなげました。

■ビジネスセミナー:北欧が考える食のサステナブルな未来

午後のセミナーは、スウェーデン農村庁 国務次官 ダニエル・リリェベリ氏と、フィンランド農林省 事務次官 ペッカ・ペソネン氏の挨拶で幕を開けました。両氏は「北欧と日本は、自然を尊び、食の安全・持続可能性を重んじる価値観を共有している」と強調し、この日の議論が未来の協力関係をさらに深める場となることへの期待を語りました。

セッション1:北欧の幸せのレシピを日本に

ノルウェーのカフェブランド「Fuglen」が日本市場で成功した理由から始まり、北欧のクラフトビール文化やスウェーデン菓子の国際的ヒットの背景が語られました。さらに、スウェーデン発のトリュフブランド「Dream of Sweden」は、味覚だけでなくデザイン性や贈り物文化との親和性を通じて、北欧の幸福感をどう伝えるかを紹介。来場者には、北欧の「食」が単なる商品にとどまらず「ライフスタイル」として日本に根付いていることが印象づけられました。

セッション2:身体と地球のためのクリーンフード

フィンランドのFazer(ファッツェル)やLantmännen(ラントマンネン)が取り組むオーツ麦の環境負荷削減や、両社が共同で進める「ノルディック・オーツ」プロジェクトが紹介されました。Valio(ヴァリオ)は「クリーンミルク」の理念を掲げ、透明性の高い生産管理と動物福祉を強調。Apetit(アペティ)からは、北欧産野菜が持つ栄養価と風味の特徴が語られ、北欧のクリーンフード(加工食品のように添加物がなく、素材そのままを食べることができる食材)が消費者の健康と環境保護の両立に寄与していることが示されました。

セッション3:北欧のシーフードの持続可能性

サーモン、タラ、甘エビなど、北欧を代表するシーフード産業の戦略と展望が議論されました。Royal GreenlandやLerøy(レロイ)などのリーディングカンパニーが、持続可能な漁業と厳格な品質管理をどのように実践しているかを紹介。食の安全と環境保護を両立させつつ、世界の栄養需要に応えるためのバリューチェーン開発の重要性が共有されました。

セッション4:サステナブルな未来に向けた先進技術

最後のセッションでは、Too Good To GoやNovonesisといった企業が登壇し、食品ロス削減アプリや酵素・微生物技術による新しい食のソリューションを紹介しました。議論では、フードテックの革新がビジネス価値と環境保護の双方に貢献する可能性が示されるとともに、産業を越えた協業が変革を加速させることが強調されました。

セミナー全体を通じて、北欧の食産業が「幸せ」「健康」「環境」「技術革新」という多様な切り口で未来の食の在り方を示す姿勢が浮かび上がり、日本との協力関係の広がりに期待が寄せられました。

北欧の食が描いた未来へのビジョンと今後の日本との協業

こうして1日を通じて行われた「ノルディック・フードデー」では、北欧5か国とフェロー諸島が一堂に会し、食を通じた多彩なイノベーションと文化交流を紹介しました。午前の北欧フードフェアでは30社を超える企業が集まり、シーフードから植物性タンパク質、菓子、飲料に至るまで、北欧ならではの特色ある食品と最新の技術を披露。続くランチセッションでは、北欧・北極圏の食文化を牽引するリーダーたちが登壇し、日本との共通点や新しい可能性を語り合いました。

午後のプレスカンファレンスとセミナーでは、各国政府代表や企業がサステナビリティ、食の安全、そして未来のフードテックについて議論を交わし、食をめぐる「幸福・健康・環境・技術」の視点から北欧の強みを示しました。特に、日本との共通の価値観である「自然への敬意」「高い品質基準」「持続可能な社会づくり」を軸に、新たな協力関係を築いていきたいという意欲が随所で強調されました。

「ノルディック・サークル~北欧と共に、より良い明日へ~」というテーマのもと、北欧の食が示したのは、単なる味覚の紹介にとどまらず、人と人、文化と文化をつなぐ力でした。大阪・関西万博を舞台にしたこの1日は、日本と北欧が共に築く「持続可能な未来の食システム」への第一歩となりました。

北欧パビリオンのオフィシャル素材のダウンロードはこちらから。

本イベントのオフィシャル素材のダウンロードはこちらから。

【北欧パビリオンについて】

人口2,700万人、GDP1兆6,000億米ドルを誇るヨーロッパ第5位、世界第10位の経済規模を持つ北欧5カ国(デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン)からなるタイプAのパビリオンです。北欧5カ国パビリオンの万博参加は、2025年で3回目となります。2025年の大阪・関西万博では「ノルディック・サークル~北欧と共に、より良い明日へ~」をコンセプトに、北欧5カ国がより良い未来に向かって世界をリードするテクノロジー、イノベーション、サステイナビリティの3つの分野での先進的な取り組みをご紹介します。

【公式ウェブサイト】

https://thenordics-expoosaka.com/jp/home

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