~清酒製造業の廃棄物削減と畜産農家の課題解決を目指す~
白鶴酒造株式会社は、酒造りの過程で清酒のろ過に使用した後の活性炭(※)(以後、処理後活性炭)を牛にも地球環境にも優しい牛の飼料「サケ炭(すみ)」として商品化しアップサイクルしています。当社はこれまでに「サケ炭」には子牛の重大疾病である下痢を低減し、牛の糞由来の悪臭を低減する効果があることを明らかにしましたが、この度、嗜好性が良好であることも新たに見出し、飼料として特許を取得しました。(2025年7月14日)
今後、「サケ炭」の取組み(処理後活性炭のアップサイクル)を当社だけでなく全国に展開することで、清酒製造業の廃棄物削減と畜産農家の課題解決を目指します。

■開発経緯
当社では処理後活性炭には清酒由来の様々な栄養が含まれていることや、活性炭の体内の不要物の吸着効果に着目し、資源の有効活用を目的として研究に取り組んできました。炭は過去の研究でも畜産用の飼料として効果が明らかにされていながら価格面や牛の嗜好性によりあまり活用されていないこともあり、これに着目しました。当社でも兵庫県内の飼料会社や畜産農家の協力のもと実証実験や研究を重ねた結果、処理後活性炭の牛への給餌に様々な効果があることを見出し、2022年12月に兵庫県内の飼料会社と協力して「サケ炭」として飼料化に成功しました。この「サケ炭」は穀物飼料に配合することで、上表のような効果が期待でき、実際に活用されている畜産農家からも高く評価いただいています。
■社会的背景と課題
<清酒製造業>
・活性炭は、清酒のろ過処理方法の1つとして、広く使用されています。
・酒造りの副産物である処理後活性炭は全国の清酒製造業者で発生しており、大半が産業廃棄物として費用を払って処理されています。また、その量は少なくとも1,000t/年と推定され、環境負荷となっています(白鶴調べ)。
<農場経営>
・子牛の疾病による損失は大きく、なかでも重大疾病の下痢は子牛の主な死亡原因となっています。
・穀物価格の上昇等によって配合飼料価格が年々上昇し、畜産農家の経営を圧迫しています。
・畜産業における糞由来の悪臭は周辺の生活環境への環境問題となる可能性があり、対策(消臭剤)にかかる費用も農家の負担となっています。

■清酒製造業と畜産業の課題解決をめざす
「サケ炭」は、安価で栄養価が高く、子牛の疾病予防および健康的な成長促進に効果があり、さらに、糞由来の悪臭を抑えることができます。また、全国の清酒製造業から発生し産業廃棄物となっていた処理後活性炭を、有効な資源として利用することができます。これらにより、清酒製造業者および畜産農家の負担と環境負荷を低減することが可能と考えます。
今後は、「サケ炭」の有用性を広め、全国の清酒製造業に取り組みを展開することで清酒業界の産業廃棄物を削減し、かつ、畜産業界の課題解決にもつなげていきたいと考えています。
■サケ炭の効果
①嗜好性が活性炭の3.5倍
特許第7712328号
「飼料用組成物及びその製造方法、飼料、家畜への給餌方法、並びに家畜の飼料に対する嗜好性向上方法」
但馬牛に対して一般的な活性炭、サケ炭(処理後活性炭)、酒粕を同時に給与し、5分間の摂取量を測定したところ、サケ炭は活性炭、酒粕と比較して摂取量が多く、牛が良好な嗜好性を示すことが明らかになりました。
活性炭は高価であり、また嗜好性も良くないため、飼料として継続的に使用することは難しいですが、サケ炭は活性炭の有用な効果を持ちつつ、かつ嗜好性が良く、栄養価も高く、安価で提供可能という多くのメリットがあり、飼料価格の高騰や臭気や下痢による問題への対応に苦慮されている畜産農家にとっても、取り入れやすい飼料です。


②6割の農家を悩ませる子牛の主な疾病である下痢をほぼゼロに
畜産農家のサケ炭給与の評価(サケ炭開発時の協力農家および現在使用中の農家による)
A畜産 様(サケ炭開発協力)

株式会社 神戸牛牧場 様(現在使用中)

③糞由来の悪臭を約9割低減
サケ炭を飼料に対して1%添加して牛に給与し、給与前後の糞をボトルに採取し、検知管で糞由来の臭気を測定したところ、悪臭源となるメルカプタンや硫化水素の濃度が約9割減少しました。

※ 活性炭
活性炭とは、ヤシ殻や木材などの炭素物質を原料として高温で処理された微細孔を持つ炭素です。特定の物質を吸着除去する働きがあり、臭気や色素、不純物などの除去に使用されます。高度浄水処理をはじめとする水質改善や大気の環境浄化などにも使用されています。清酒製造においては、食品添加物規格の2倍厳しい醸造用資材規格適合品の活性炭がろ過処理法の一つとして使用されています。
■白鶴のCSR活動
環境への関心が高まり、企業の社会的な責任として「つくる責任 つかう責任」に、より積極的に取り組むことが求められています。自然や農産物の恩恵を受けて江戸時代から酒造りを続けてきた当社は、これまでも、水の保全、CO2排出量の削減、3R(リデュース、リユース、リサイクル)、農業事業などを進めてきましたが、今後も、持続可能な社会の実現のため自然環境と調和した事業を目指します。
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https://www.hakutsuru.co.jp/corporate/csr/index.html
【清酒製造業および畜産業、飼料製造業の方からのお問い合わせ】
白鶴酒造株式会社 お客様相談室
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