2025年7月8日(火)・7月15日(火) 場所:福井県高浜町・小浜市
一般社団法人福井環境研究開発は、若狭地方の名産品「小鯛のささ漬け」の原料であるレンコダイの生態と若狭の海で起きている変化や課題を、高浜町立和田小学校5年生19名が2日間の体験を通して学び発信するイベント「若狭小鯛(レンコダイ)調査隊」を開催しました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

イベント概要
・開催概要:福井県高浜町・小浜市を舞台にレンコダイについて学習、調査
・日 程:2025年7月8日(火)、7月15日(火)9:00~16:00
・開催場所:若狭高浜漁業協同組合 高浜本所、小浜海産物株式会社、福井県立大学かつみキャンパス、若狭和田ビーチ、和田公民館
・参加人数:高浜町立和田小学校5年生19名
・協力団体: 高浜町、高浜町教育委員会、福井県立大学、若狭高浜漁業協同組合、はもと加工販売所
レンコダイってどんなお魚?
福井県高浜町は、海の恩恵を受けて発展を遂げてきた町です。高浜町の歴史は古く、御食国(みけつくに)として、朝廷に「鯛のすし」や「海産物」を献上してきた歴史もあります。レンコダイは若狭の名産品「小鯛のささ漬け」の原料です。そのレンコダイの漁獲量は年々減少しています。高浜町の海で今、何が起きているのだろう?「若狭小鯛調査隊」は高浜の海で起きている変化や課題を2日間にわたり調査しました。
1日目は、高浜町産業振興課中村広花さんの講義からスタートです。高浜町と海の関わりについて、歴史や文化に触れながら楽しく学びました。続いての講義は、若狭高浜漁業協同組合の上山幸治さんです。若狭にいる鯛の種類や、レンコダイの生態、漁法について詳しく解説していただきました。

市場の競りを見学・レンコダイを観察
レンコダイの生態について学んだ隊員たち。次は市場に行き、競りを見学しました。当日は漁獲量が少なかったのですが、競りを見学するのは初めての隊員が多く、「競りに使う紙はいっせいに見せ合うの?」「2人が同じ値段を出したらどう決めるの?」など、たくさんの質問が飛び交いました。その後、実際に高浜町で獲れたレンコダイを観察し、その特徴をスケッチしました。

小鯛のささ漬け工場を調査
レンコダイは若狭の名産品「小鯛のささ漬け」の原料です。その製造工程を調査するためにバスで小浜市に移動し工場を見学しました。案内してくれたのは、小浜海産物株式会社の川嶋 忠典さん。小鯛のささ漬けの製造工程や歴史、その魅力について教えてもらいました。手際よくレンコダイをさばき、次々と小鯛のささづけができあがる行程を目にした調査隊からは、「包丁使いがすごい早い!」「どんどんできてる!」と驚きの声があがりました。

天然魚の価値とは?
お昼に小鯛のささ漬けや、若狭湾の恵みをお腹いっぱい食べ、福井県立大学かつみキャンパスに会場を移して午後の部がスタート。水産利用のスペシャリスト、福井県立大学 松川 雅仁教授より、レンコダイの活用方法について教えていただきました。また、資源生物学のスペシャリスト、福井県立大学 富永 修教授の案内で、最新の水産研究施設を見学しました。最後は天然魚と養殖魚の利点と欠点について、それぞれグループに分かれて話し合い、発表し1日目を締めくくりました。

ブルーフラッグ認証ビーチで海の豊かさを体感
高浜町には世界で最も歴史のある環境認証のひとつで、FEE(国際環境教育基金)が運用する「ブルーフラッグ」認定を日本初、アジア初に取得した「若狭和田ビーチ」があります。2日目は、若狭和田ビーチでSUPを体験し、海の豊かさや楽しさを体感しました。

レンコダイのさばき・調理に挑戦
この秋、若狭小鯛調査隊は、レンコダイの魅力や高浜の海の豊かさを全国に発信するために、レンコダイを使ったオリジナル商品を作ります。ここからは商品作りに向けてのワークショップです。
まずは、レンコダイのさばき方をはもと加工所の皆さんに教わりました。レンコダイは小ぶりながら、うろこや骨がしっかりしています。はもと加工所の皆さんのサポートを受けながら、上手に三枚におろすことができました。その後は、調理家 田中 佳子先生の指導のもと、「レンコダイの塩こうじレモンバターソース仕立て」に挑戦。特製ソースをレンコダイにかけて完成した際には、隊員から大きな歓声があがりました。

取り組んで行きたいアクション・学びの発表会
2日間にわたり、レンコダイと高浜の海を調査した隊員たち。これからもたくさんの魚が生きやすい豊かな海を守るために私たちができることは何だろう?美しく豊かな高浜の海を守るために取り組んでいきたいアクションをみんなで考えました。「ごみを海に捨てない」「小さい魚はにがす」など、一人ひとりができることをレンコダイ型のシールに書き込み、若狭小鯛調査隊アクションパネルが完成。最後に2日間の学びの成果をまとめ、高浜町教育長に発表します。「魚を食べる時に感謝する」「高浜の魚のおいしさを知ってもらう」など、隊員たちは緊張しながらも、自分達のアクションを伝えることができました。また、お昼にみんなでつくった料理を教育長に試食してもらいました。隊員たちにはこの後、オリジナル商品を考える大事なミッションが残されています。この美味しさを全国に届けられるよう、若狭小鯛調査隊は取り組んでいきます。

参加者からの声
・2日間だったけど、知らなかった魚や海のことをたくさん知ることができた。
・レンコダイをさばいたのは初めてだった。難しかったけどできたのが嬉しかった。
・今、普通に食べている魚も将来的にとれなくなるかもしれないから、考えながら食べたい。
・高浜の海を守るために、自分たちでできることをしていきたいと思った。
<団体概要>
団体名称:一般社団法人福井環境研究開発
URL :https://fukui.uminohi.jp/
活動内容:北は東尋坊にみる奇岩断崖が続く越前海岸、南は優美なリアス式海岸の若狭湾と変化に富んだ福井県の海は、北前船などの海上交通の要衝として古くから栄えてきました。また、寒流と暖流が交わる福井県沖は越前がにや若狭ガレイなど海産物の宝庫。(一社)福井環境研究開発では、海に親しみ、大切にする心を育てる運動を進めています。

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。