日曜日, 3月 9, 2025
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⽇本農芸化学会 2025年度札幌⼤会において涙のでないタマネギ「スマイルボール」とその関連技術の開発で農芸化学技術賞を受賞

1990年代から始まった⻑年のタマネギ研究の成果により⾷卓に嬉しい変化と新たな⾷の楽しみを拡げ“タマネギの新しい喫⾷機会”を提供

ハウス⾷品グループ本社株式会社は、カレー作りには⽋かせない⾷材であるタマネギについて、1990 年代より約30年以上研究を⾏っております。この度、2025年3⽉4⽇に公益社団法⼈ ⽇本農芸化学会 2025年度札幌⼤会において、当社の「涙のでないタマネギ『スマイルボール』とその関連技術の開発」が農芸化学技術賞※を受賞したことをお知らせいたします。 

※農芸化学分野において注⽬する実⽤的価値ある技術的業績をあげた正会員あるいは賛助会員に授与する。

⽇本農芸化学会 2025年度 札幌⼤会 授賞式の様⼦
涙のでないタマネギ「スマイルボール」

■新しい野菜(涙のでない、⾟みのないタマネギ)を開発し、お客様の⾷の楽しみを拡⼤

レトルトカレーの製造現場でごくまれに起きる、製造ロスにも繋がる変⾊現象(タマネギとニンニクを焙煎した時に緑⾊になる)の解明とその解決に向け研究が1990年代からスタートしました。その過程でタマネギを切った時に⽬にしみる成分(催涙成分)⽣成のカギとなる酵素として、催涙成分合成酵素(Lachrymatory Factor Synthase︓LFS)を発⾒。催涙成分の⽣成の仕組みを明らかにしたことを始まりとして、①涙のでない、⾟みのないタマネギの開発(明らかになった催涙成分の⽣成の仕組みを逆⼿にとって催涙成分のできないタマネギをつくる)、②保存性の⾼い催涙キットの開発(催涙成分を⼈為的に⽣成させることの医療・研究への応⽤)、③⾟み成分の⽣成に関わる酵素であるLFSの働きを抑えた時に⽣成する新たな機能性成分の発⾒、など研究成果を多⽅⾯へ展開してきました。 

調理しても涙がでず、⾟みのないタマネギは、「スマイルボール」と命名し、2015年から⻘果として販売しています。催涙成分は⽣タマネギのひりひりした⾟みの成分でもあります。ゆえに、スマイルボールは切った時に涙がでないことに加えて、⾟みがないので“⽔さらし”をすることなく⽣⾷できることから、調理時の⼿軽さを提供できます。さらに、⽔さらしによる成分の流出を抑え、タマネギ本来の⽢さや栄養をまるごと摂取することにも繋がります。厚切りタマネギを⽣⾷したり、ジュースにして飲んだりといった“タマネギの新しい喫⾷機会”を提供することができる新しいタマネギです。 

このような⼀連の基礎研究から始まり、そこで得られた知⾒を基にして、新しい野菜(スマイルボール)を開発し、お客様の⾷の楽しみを拡⼤することへ繋がったことが評価され、今回の受賞となりました。

■約30年以上に及ぶハウス⾷品グループのタマネギ研究の道のり

1990年代〜

レトルトカレーの製造時にタマネギとニンニクを炒めるときつね⾊にならず、緑⾊に変⾊してしまうことがあった。この製造⼯程の不具合の原因解明・解決の研究を始める。研究を進めていく中、それまでの定説ではタマネギが涙のでる成分(催涙成分)を作る仕組みを説明できないことに気づき、研究を進める。

左:きつね色になった普通のペースト右:緑色になったペースト

2002年

 催涙成分を作り出す新規酵素(LFS)を発⾒し、催涙成分の⽣成が下図のようにアリイナーゼとLFSが順番に働くことで進むことを明らかにし、学術雑誌「Nature」に発表。

タマネギ催涙成分⽣成の反応経路

催涙成分が⽣成される仕組みが解明できたことで、この仕組みがない新品種のタマネギが作れれば「涙のでないタマネギ」が開発可能と考える。研究は次のステップとなる重イオンビームを⽤いた突然変異育種による品種作出をスタート。

2012年 

催涙成分を⽣成する2段階反応のうち酵素「アリイナーゼ」の量が⾮常に少ないため涙がでない、⾟みのないタマネギ(後に“スマイルボール”)を作ることに成功。

2013年

2002年の「Nature」掲載論⽂が評価され、イグ・ノーベル化学賞を受賞。涙がでる⾟み成分を⽣成するきっかけとなる催涙因⼦合成酵素の発⾒は「タマネギが⼈を泣かせる⽣化学的なプロセスは、科学者が考えていたより複雑であることを、明らかにした」と評価。

イグ・ノーベル化学賞受賞時の様⼦

2015年 

「スマイルボール」の販売を開始。『涙を流さなくなることで、全てのお客様が笑顔になる新しいタマネギでありたい。これまでのタマネギにとらわれず、新しい⾷べ⽅や⾷シーンをお客様と⼀緒に(キャッチボールをしながら)創造できるタマネギでありたい。』という想いを込め、“笑顔”と“ボール”を組み合わせて「スマイルボール」と命名。

2021年

 LFSを抑制することで、タマネギ中で増加する新たな機能性成分を発⾒。

2022年

 保存性の⾼い催涙キットを開発し、弘前COI※)の⼤規模健診にて涙液採取に活⽤。涙液成分と健康との関係を解析する研究を展開。

※2013年から弘前⼤学を中⼼に活動する「⾰新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の⼀つ。10年後のあるべき社会や暮らしの実現に向け、課題に対して産学連携で研究を重ね、社会実装を⽬的とする取り組み

催涙キット
⼤規模健診にて涙液を採取

■⽣で⾷べても⾟くない、栄養をまるごと摂れる、涙がでない。魅⼒たっぷりのスマイルボール

⼀般のタマネギは、リンゴやナシに近い10〜11度の糖度を⽰します。しかし、切ったときに発⽣する⾟み成分が⽢みを隠してしまい、⽢みを感じにくくしています。 

スマイルボールは⾟み成分の発⽣に関わる酵素が少なく⾟みをほとんど感じないので、タマネギの持っている⽢みをそのまま実感することができます。また、⽣で⾷べる時に⽔にさらす必要がないスマイルボールは、調理の⼿間が省けるうえ、栄養成分の流失を抑えることができます。切ったとき⽬にしみることがなくニオイも⼿に付きづらいので、調理のハードルも低くなります。

 ⽣で⾷べても⾟くない、栄養をまるごと摂れる、涙がでない。魅⼒たっぷりのスマイルボールは、料理をする⼈も⾷べる⼈もハッピーにする新しいタマネギです。

*)ポリフェノールの⼀種。タマネギに多く含まれる健康成分として近年注⽬されています。

■「スマイルボール」の特徴を⼿軽に体感いただけるメニュー

●スマイルボールのフレッシュチップス

(1)スマイルボールをくし形8等分に切り、さらに半分にします。(2)ハーブソルト・オリーブオイル、(1)をボウルに⼊れて混ぜます。

(3)お⽫に盛りつけて出来上がりです。

■⾷卓価値を⽰す野菜をお届けし、お客様の⾷をもっと楽しく

スマイルボールを通じて、⽣でそのまま⾷べても⾟みが弱い、⽔さらししないから⼿軽に1品加えることができるという⾷卓価値をお届けしています。また、季節関係なくサラダでタマネギをより⼿軽で美味しく⾷べていただけることから、お客様の⾷卓に変化をお届けしていると考えております。 

今後も⾷卓価値を⽰す野菜をお届けし、お客様の⾷をもっと楽しいものにしていくことを⽬指し研究開発に取り組んでいきます。

<参考>「スマイルボール」特設ページURL︓https://housefoods-group.com/activity/smilebal

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