~バイオ炭を活用した酪農家とのサステナブルな酪農の取り組み~
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この度、大山乳業農業協同組合(以下大山乳業とする)、三光株式会社(以下三光社とする)と一般社団法人C2X(以下C2Xとする)の三社共同で申請した「鳥取県でサステナブルな酪農を実現するためバイオ炭を利用したCO2削減プロジェクト」が第63回Jークレジット認証委員会において「バイオ炭の農地施用」の方法論として認証されましたのでお知らせいたします。
■背景
地域で回収される下水汚泥の有効活用として製造した炭の活用用途として一般社団法人C2X内にて用途を模索していた三光社よりCO2削減を目指す大山乳業へ声かけしたことが起因となる。大山乳業は鳥取県でサステナブルな酪農を実現するためCO2削減に取り組むことを酪農ビジョンの一環として掲げている。酪農業界では、家畜糞尿の水分調整材として使用されるおが粉の調達難や価格高騰が経営に影響を与えており、下水汚泥由来の安価なバイオ炭をおが粉の代替とすることでCO2を削減する方法を起案した。
■取り組み概要
三光社のウェストバイオマス工場において通常廃棄される下水汚泥を原料としたバイオ炭を大山乳業の組合員である酪農家の牛舎に運搬。そこで家畜糞尿に混ぜ、堆肥化したものを採草地に散布し、炭素が土壌に貯留されることで、カーボンネガティブを実現する。大山乳業では昨今の円安により輸入飼料高騰に苦慮している酪農家へ飼料自給率向上を推進しており、バイオ炭の散布により土壌改良の効果も期待を寄せている。バイオ炭を土壌に散布することで、多孔質な炭の構造から堆肥散布時の臭気の軽減や微生物の住処となり豊かな土壌の形成や弱アルカリ性~アルカリ性の性質を持つことから酸性土壌の中和に役立つとされている。
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■バイオ炭とは
バイオ炭とは、「燃焼しない水準に管理された酸素濃度の下、350℃超の温度でバイオマスを加熱して作られる固形物」と定義されている(2019年改良IPCCガイドラインに基づく)。今回三光社が提供するバイオ炭は焼却炉内の温度のモニタリング測定により350℃超の温度を証明し重金属等が含まれないことを確認している。
■バイオ炭の種類
バイオ炭の原料には複数種類があるが、下水汚泥由来のバイオ炭が認証されるのは今回が初となる。
<バイオ炭 種類/原料一覧>
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■なぜCO2削減となるか
炭にして固めた炭素を土中に埋めれば、酸素と結合することなく長期間(半減期は120年〜1万年と言われている)炭素のまま地中にとどめておくことができる。この考え方を炭素貯留といい、大気中のCO2を削減(除去)する新たな方法として近年注目されている。
■バイオ炭の混合方法
堆肥に混合するバイオ炭は400t/年を利用する予定で概ね1割程度を見込んでいる。
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トランスバック(500Kg程度)に入れられたバイオ炭を通常行う堆肥の切り返し時に混合させる。
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通常の堆肥と比較すると早期に温度上昇が見られ良好な堆肥化が進んだ。
良好な堆肥を採草地に散布することで化学肥料を削減し環境負荷軽減も可能となる。
■今後について
今後はバイオ炭を採草地へ施用した酪農家のモニタリングを行い、J‐クレジット制度のモニタリング申請を行いつつ、家畜糞尿の臭気の低減や収穫量への影響など、自給飼料を作る酪農家にとってのおが粉の代替物としての使い勝手の良さを検証していく。この取り組みを通じて、年間100t以上のCO2削減と共に環境負荷軽減、土壌改良や飼料自給率の向上、さらには酪農経営の安定化が期待されている。
■プロジェクト実施者体制と役割分担
J-クレジット制度における方法論の「バイオ炭の施用」に申請するにあたりC2Xが申請フォローを行い、大山乳業が代表実施者、三光社とC2X実施者としてプロジェクト申請し、認証された。(今後施用した分のバイオ炭をJ-クレジットとして認証されるモニタリング認証の手続きを踏むことで、保有J-クレジットは売買可能となり、利益はプロジェクト会員の酪農家に還元される)
以上
【本プロジェクトに関する問合せ先】
・一般社団法人C2X (事務局 スマートシティ企画株式会社 小林)
Tel:03-6869-5050 E-mail:c2x_jimukyoku@smartcity-planning.co.jp