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【岡山大学】イネのケイ素吸収を制御する長距離シグナルタンパク質を発見!ケイ素蓄積を増やし、ストレスに強い作物に期待

2025(令和7)年 1月 1日
国立大学法人岡山大学

https://www.okayama-u.ac.jp/

<発表のポイント>

  • イネはシグナルタンパク質SSSを篩管を通して茎葉から根に運ぶことで、ケイ素の吸収と蓄積をフィードバック制御していることを明らかにしました。

  • DIYインセクトレーザー法を開発し、篩管液中のタンパク質の検出が可能になりました。

  • SSSは花成ホルモン(フロリゲン)から機能分化しました。この仕組みを獲得することでイネ科植物はより高度にケイ素を利用できるようになったと考えられます。

◆概 要

 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の高等先鋭研究院を構成するひとつである 資源植物科学研究所/J-PEAKS研究特区主任研究者の山地直樹准教授、同研究所の三谷奈見季准教授らの研究グループは、イネの地上部で発現し、根に運ばれて根のケイ素吸収を促進するシグナルタンパク質SSS(Shoot-Silicon-Signal)を発見し、ケイ素の吸収と蓄積をフィードバック制御する仕組みを解明しました。

 また、DIYインセクトレーザー法を開発することで、イネの篩管液の採取を可能にし、篩管液中のSSSタンパク質の検出に成功しました。

 これらの研究成果は2024年12月27日午後7時(日本時間)、英国の総合学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

 ケイ素は土壌中に普遍的に存在し、陸上植物にとって必須元素ではありませんが、さまざまなストレス耐性を向上させる有益効果があります。イネ科植物、特にイネは多量のケイ素を積極的に吸収して利用しますが、これまでその制御メカニズムは解明されていませんでした。

 本研究成果によって、イネおよびイネ科植物が多量のケイ素を吸収するだけでなく、緻密に蓄積を制御する仕組みを備えていることが確認されました。この仕組みを応用し、ケイ素施肥の最適化や、より多くのケイ素を蓄積する作物品種の開発を通じて、よりストレスに強く、持続可能な農業生産に貢献することが期待されます。

◆山地直樹准教授からのひとこと

 この論文の最終稿を投稿したのは岡山マラソンの翌日でした。マラソンの朝は大盛りのカレーライスを食べて走りました。ケイ素はイネの籾殻にはとてもたくさん蓄積しますが、白米にはほとんど含まれません。走った後はビールをおいしく頂きましたが、こちらは籾殻付きの大麦麦芽を原料にしているのでケイ素をたくさん含んでいます。

山地直樹准教授

◆論文情報
 論 文 名:Shoot-Silicon-Signal Protein to Regulate Root Silicon Uptake in Rice.
 邦題名 「イネの根のケイ素吸収を調節する茎葉由来のシグナルタンパク質」
 掲 載 紙:Nature Communications
 著  者:Naoki Yamaji, Namiki Mitani-Ueno, Toshiki Fujii, Tomonori Shinya, Ji Feng Shao, Shota Watanuki, Yasunori Saitoh, Jian Feng Ma
 D O I:10.1038/s41467-024-55322-7
 U R L:https://www.nature.com/articles/s41467-024-55322-7

◆研究資金

 本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤B・19H03250, 基盤A・24H00571 研究代表:山地直樹, 基盤S・21H05034 研究代表:馬建鋒, 基盤C・24K08648 研究代表:三谷奈見季)、武田科学振興財団「生命科学研究助成」(研究代表:山地直樹)、 大原奨農会「共同研究助成」(研究代表:山地直樹)の支援を受けて実施しました。

◆詳しい研究内容について
 イネのケイ素吸収を制御する長距離シグナルタンパク質を発見!ケイ素蓄積を増やし、ストレスに強い作物に期待

 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20241227-1.pdf


◆参 考

・岡山大学資源植物科学研究所
 https://www.rib.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学資源植物科学研究所 植物ストレス学グループ
 http://www.rib.okayama-u.ac.jp/plant.stress/index-j.html

◆参考情報1

・【岡山大学】高等先鋭研究院 資源植物科学研究所の馬建鋒教授、山地直樹准教授が2024年版の「世界で最も影響力のある科学者」に選出

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002701.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学資源植物科学研究所の馬建鋒教授と山地直樹准教授が2023年版の「世界で最も影響力のある科学者」に選出!

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001858.000072793.html
・【岡山大学】資源植物科学研究所の馬建鋒教授と山地直樹准教授が2022年版「世界で最も影響力のある科学者」に選出!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001037.000072793.html
・【岡山大学】馬建鋒教授、山地直樹准教授、沈建仁教授が2021年版の「世界で最も影響力のある科学者」に選出!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000372.000072793.html

◆参考情報2

・【岡山大学】岡山大学高等先鋭研究院を創設~世界と伍す研究・イノベーションの卓越と厚みを育成するシステムを構築~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001681.000072793.html

・【岡山大学】「岡山大学最重点研究分野」を制定~地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学を実現するために~ 

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001601.000072793.html

・【岡山大学】岡山大学資源植物科学研究所を「岡山大学高等先鋭研究院」に認定~我が国初で岡山大学独自の”世界と伍す研究・イノベーションの卓越と厚みを育成するシステム”を始動~

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001796.000072793.html

・岡山大学高等先鋭研究院に先鋭研究群(研究特区)「植物・光エネルギー開発拠点」を認定~わが国屈指の国際競争力を有する研究拠点が研究の卓越性と地球と生態系の健康(Planetary Health)を実現へ

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002489.000072793.html

岡山大学資源植物科学研究所(岡山県倉敷市)

◆本件お問い合わせ先
 岡山大学資源植物科学研究所 准教授 山地直樹
 〒710-0046 岡山県倉敷市中央2-20-1
 TEL:086-434-1212
 http://www.rib.okayama-u.ac.jp/plant.stress/index-j.html

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階

 TEL:086-251-8745、086-251-8746
 FAX:086-251-8748

 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp

     ※ ◎を@に置き換えて下さい

 https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/

<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>

 岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部

 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい

 https://venture.okayama-u.ac.jp/

 岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
 岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
 岡山大学統合報告書2024:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002801.000072793.html

 岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
 岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
 岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw

 産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2025年1月期共創活動パートナー募集中:

 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002800.000072793.html 

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください

  • 岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~

    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html

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