花き業界の国内生産農家の大幅な減少と、障害者を支援する就労継続支援B型事業所の機能不全。この課題に対して、農福連携の胡蝶蘭農園を新設、就Bで働く方達が就職できる道を拡げます。
今回の取組みの背景
1)国内生産農家の減少が深刻な花き業界
花きの作付面積は平成7年の48千ha、産出額は平成10年の63百億円をピークに全品目を通じて減少傾向で、令和3年にはそれぞれ24千ha、35百億円となり 「農業人口の減少が止まらない」状況です。日本の農業衰退の大きな原因は生産者に有利な流通・加工構造が無いためであり、花き農家も同様の理由から後を継ぐ経済的魅力が乏しく廃業するケースが増大しています。
2)障害者を支援する就労継続支援B型事業所( 全国に1万4393事業所 ・ 26.9万人 が利用)の機能不全
企業への障害者法定雇用率の導入によって、多くの障害者が働くチャンスを得ていますが、その多くはオフィスで事務作業ができる身体障害や聴覚障害の方に偏っていて、残念ながら重い知的障害・精神障害のある方たちは、そのセーフティネットから取り残されています。国はこうした方たちを支援するために、就労継続支援B型事業に毎年約4,000億円の予算を投じて、26.9万人の障害者支援を行っていますが、障害が重い方たちが利用する就労B型の現状は、全国の月額平均工賃 17,031円、時給243円、就職率は1.5%(厚労省発表数字)と、働いて経済的自立をすることなく、ほとんどの方たちが就職できずに低賃金のまま訓練施設内で固定化しています。
取り組みについて
AlonAlon(就B)は、今回生花販売のアットアールが販売する胡蝶蘭について、毎月50万円で栽培受託する契約を締結しました。
①この契約を受けてアットアールは千葉県富津市内に栽培農園を設置します。
②毎月の栽培受託費50万円は、全額が就職を目指しているAlonAlonのメンバーの工賃として支給され、就Bの平均を大幅に上回る工賃を実現します。
上記の①により、国内生産農家の減少が深刻な花き業界において、農福連携の新しい農業の形が実現します。また②によって、AlonAlonでは、栽培受託費により農園で働く障がい者の更なる工賃向上が実現し、またアットアールの胡蝶蘭農園への施設外就労により、就B施設内就労での基礎的な就労支援から、更に難易度の高い就労支援の場ができることにより、就労Bメンバーのさらなるスキルアップが可能になります。
※習得技術レベルが向上した就労Bメンバーは、アットアールへの施設外就労で働きます。(就職レベルに達していない:就B施設内就労/就職可能レベル:アットアールのへ施設外就労)
今後の展望
スキルアップの場が拡がることで一般企業への就職が増える=就労Bメンバーのステップアップが実現することが最終的な狙いです。 また停滞する農業をこの農福連携の新しい事業モデルにより、活性化していきます。このビジネスモデルを全国に拡げ、より多くの障害者やそのご家族に、生きがいのある安定的な未来を提供したい。
どんな人もその生き方や個性が尊重される、優しく暖かい社会の実現に向けて
「ゆっくり、ゆっくり、急がず自分らしく」AlonAlonは前進します。
NPO法人AlonAlon
AlonAlonは農福連携の新しいビジネスモデルで、知的・精神障がいの方たちに、生きがい・働き甲斐のある安定した仕事を創ることを目指しています。お世話するのでなく、障がいのある人々がスキルを身につけて成長し、やりがいを感じて仕事ができ、最終的には親亡きあとも自立できる力をつけてもらうことを目標としています。
住所:299-4502千葉県いすみ市岬町中原3863-61TaitoStyle D-02
担当:藤井
Mail: ma.fujii@alonalon.or.jp
TEL:0470-62-6215
株式会社アットアール
2007年設立。2019年生花販売事業開始、AlonAlonアトリエ開設。2024年、販売量の増加に伴い、栽培委託による自社栽培開始。
担当:広報部 丸山
Mail:info@atr-web.net
TEL:050-5865-9845