ネギの病害と農薬量を共に削減する防除DXアプリの開発
「農家の経営リスクを最小化する」をミッションとする株式会社ミライ菜園(本社;名古屋市中村区、代表取締役:畠山友史)は、内閣府(京都府との共同提案)を研究開発課題のニーズ元とした国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2024年度「SBIR 推進プログラム」(連結型)に係る公募に採択されたことをお知らせします。
【研究開発テーマ】
ネギの病害予防を最適化し、病害と農薬量を共に削減する防除DXアプリの開発
【研究の背景】 農薬使用量の削減と安定した収穫の両立が求められている
ネギは年間を通して栽培され、日々の食卓に欠かせない食材です。一方でその栽培においては、べと病、さび病、黒斑病、黒腐れ菌核病と、季節ごとにリスクの高い病害が存在します。特に葉ネギでは、葉が商品となることから、病害によって出荷可否が左右され、大きな問題となっています。こうした病害については農薬散布で対処することが多いですが、昨今は脱炭素や環境負荷低減などの観点から、農薬の使用量削減も求められており、過度に農薬に頼らずに安定した収穫を確保する対策が必要です。
【事業内容】 AIを用いた病害虫発生予報を開発
農薬の使用量を削減しつつ、安定した収穫量を維持するためには、適切なタイミングでの農薬散布(防除)が重要です。当社は、上記課題に対して、病害虫の発生タイミングをリアルタイムで知らせる予報AIシステムを開発してまいります。
【今後の展開】 病害虫発生をAIで「予報」する防除DXアプリ「TENRYO」への実装
当社は、全国各地の20年分の気象データとアプリユーザーから集まる発生履歴を照らし合わせ、独自のAIで病害虫の発生を「予報」する防除DXアプリ「TENRYO」(旧名称:MIRAI)を開発中です。現在、キャベツ、ブロッコリー、トマト、タマネギ、キュウリ、イチゴ、ダイコンの7種の農作物に対応しており、本研究成果を活かし、今後は「ネギ」への対応も予定しています。
2022年からは愛知県、群馬県の農協(JA)と連携し、約50軒の農家で実証実験を実施。AI予報を活用した防除により、若手ブロッコリー農家の収量が15%増加、ベテランキャベツ農家の収量が4%増加するなど、開発段階から大きな成果を上げています。
当社は、本研究を通じてAIによる最適な防除を実現し、「環境負荷低減」と「安定した収穫」を両立させた持続可能な農業の実現に貢献してまいります。
〈以下、参考情報〉
日本では2050年までに化学農薬の50%削減を目標に掲げる
化学農薬や化学肥料は、食料の安定生産において大きな役割を果たす一方、脱炭素・環境負荷低減などの観点から、化学農薬の使用量を削減する動きが世界的に活発化しています。日本においても『みどりの食料システム戦略』において2050 年までに化学農薬の50%削減、輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料使用の30%低減が掲げられています。とくに日本では、温暖湿潤な気候のため植物病害を引き起こす病原菌が生息しやすい環境にあるほか、昨今は耐性菌の出現により、農薬散布の効果が小さくなっていることも問題となっています。
■NEDO 「SBIR推進プログラム」について
SBIR(Small Business Innovation Research)推進プログラムは、多様化する社会課題の解決に貢献する研究開発型スタートアップ等の研究開発の促進および成果の円滑な社会実装を目的としています。関係府省庁等が実施する研究課題などについて、研究開発の初期段階をフェーズ1、実用化開発支援をフェーズ2として、各フェーズごとに助成を実施します。
参考:https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100205.html
会社概要
会社名 |
株式会社ミライ菜園 |
代表者 |
代表取締役 畠山友史 |
創業 |
2019年5月 |
資本金 |
4,060万円 |
所在地 |
名古屋市中村区平池町四丁目60番地12号 グローバルゲート11F |
事業内容 |
病害虫被害を減らす防除DXサービスの提供 |