金曜日, 11月 22, 2024
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カルネット コンソーシアム、安全安心の培養肉製造に向け、食品培養資材の世界標準化を議論東医歯大 安達准教授から培養肉の健康面についての研究成果を共有

インテグリカルチャー、カルネットコンソーシアムの2024年度第1回運営委員会を開催

新たな食資源として期待される細胞性食品(培養肉)などを作る「細胞農業」の実現を目指すインテグリカルチャー株式会社(本店:東京都文京区、代表取締役:羽生 雄毅、以下「当社」)は、当社が主催する細胞農業のオープンイノベーションプラットフォーム「CulNet®︎(カルネット) コンソーシアム」(以下「コンソーシアム」)の2024年度第1回の運営委員会(以下「本委員会」)を開催いたしました。

本委員会では、コンソーシアムに参画する会員企業14社とともに、培養肉の生産で用いる食品グレードの細胞培養資材の優位性、培養肉の上市を実現するためのキーエレメントや環境整備、さらに、アカデミアにおける培養肉を食べることによる健康への影響に関する研究成果などを共有しました。

 

 

 

運営委員会での議論

近年、シンガポール、米国及びイスラエルに続き、オセアニアでも培養肉の販売が認められ、国際的の受け止め方としては、「未来の食資源」から「産業としての可能性」にシフトしつつあります。本委員会では、培養肉が産業として成立するために求められる技術開発の流れや標準化の可能性を中心に議論を深めました。

標準化の一つの例として、細胞農業資材の食品グレード化が取り上げられました。培養肉生産では、既存の食産業とは大きく異なり、研究試薬を用いた製造方式が採用されることが多く、世界的にもメインストリームとして位置付けられております。しかしながら、通常の食品製造では縁遠い研究試薬を用いた製造方式自体が消費者にとって受け入れがたい要因の一つになっています。

本委員会では、食品及び食品添加物由来の原料を用いた培養肉製造の可能性について議論を深めました。

当社は培養肉生産における食品としての安全性確保はもちろんのこと、消費者から見ても安心して食べていただける形を目指していきます。そのため、食経験がある食品及び食品添加物のみを原料とした培養肉の製造を実現するとともに、各工程において安全性を確認するために必要な各種データを所得しつつ、SOP(標準作業手順書)の整備を始めとする製品の品質確保に必要な対策を検討してまいります。

 


 

東京医科歯科大学の安達准教授による培養肉の特性に関する研究

東京医科歯科大学・難治疾患研究所の安達准教授に登壇していただき、基礎生物学の視点から見る「培養肉を摂取することによる健康への影響」について研究成果の一端を紹介していただきました(図1左)。

安達先生の研究では、当社が生産した培養肉を摂取させた免疫細胞への影響について解析し、疾患や炎症の原因となる遺伝子を評価しました。この結果、培養肉の摂取によって疾患の原因となる遺伝子の発現が高まらないこと、さらに、抗炎症成分の遺伝子の発現が促進される可能性が見えてきました(図1右)。

 本委員会では、引き続きアカデミアによる最新の研究成果なども参考にしながら、培養肉の食品としての安全性確保や産業としての可能性を検討してまいります。

 

 

  

図1. 左:東京医科歯科大学・難治疾患研究所の安達准教授  右:培養肉の摂取によって発現が増加した遺伝子群
コンソーシアム運営委員会の参加者 最前列左から3番目は当社CEO羽生、その右上は安達准教授


インテグリカルチャー株式会社 代表取締役:羽生 雄毅  からのメッセージ

今回の会合は、細胞農業の「場」である勝手場のオープンと時を同じくしています。これは、需要側と供給側がつながり、サプライチェーンを回し始めるための取組みです。今後、食品としての安全性を確認するためのルールが整備され、細胞性食品が実際に上市できれば、コンソーシアムで培ってきた成果がついに社会実装されていくと確信しています。

 

 


■ インテグリカルチャー株式会社

< https://integriculture.com >

 当社は、2015年創業の日本で最初に誕生した細胞農業企業です。細胞農業は、近い将来においてタンパク質の需要が供給を上回ってしまう「タンパク質クライシス」に対する一つの解決策として期待される新たな産業である一方で、細胞培養自体が高価な生産方式であることや食品としての安全性が確認されていないといった課題があります。

当社では、独自技術である「CulNet® system (カルネット システム)」による細胞培養の大きなコストダウンの可能性を開くとともに、既に食経験のある原材料だけを用いた細胞培養資材の開発に成功しました。今後はこれらの技術を最大限活用しながら、培養細胞を原料とした食品の上市に取り組むとともに、さらなる研究開発を進め、新たな食としての可能性を実感していただける細胞農業の実現と普及を目指してまいります。

 

 

■ CulNet® system (カルネット システム)

カルネット システムは、動物体内の臓器間相互作用を模したシステムです。当社は、ラボスケールの実証実験において、カルネット システムによる血清様成分の作出に成功しました。これにより、細胞培養で必須であるとされていたFBSや成長因子を添加しない細胞培養を実現しました。

なお、FBSは、コストとアニマルウェルフェアの両面で課題があると考えられており、その代替が求められてきました。カルネット システムは、FBSや成長因子を必要としない「低コストな細胞培養」を実現する細胞農業のプラットフォーム技術として期待されています。

 

 

■CulNet®️(カルネット) コンソーシアム                                                           

2050年には世界人口が100億に達すると見込まれ、エネルギー、飼料、土地、水などの枯渇により、これまでの方法ではタンパク質の供給が追いつかなくなることが危惧されております。食肉に代わるタンパク質源として、植物由来原料などが商品化されるとともに、より食肉に近い代替タンパク質として動物細胞由来の培養肉が注目されています。

しかしながら、生産コスト、安全性、大規模化などの点で課題が山積しているため、様々な領域で高い技術力を有する企業様に参画していただき、培地、足場、培養装置などの課題解決に取組み、培養肉のサプライチェーンを実現することを目的として、2021年4月1日、カルネット コンソーシアムが設立されました。

現在、カルネット コンソーシアムは設立3年目を迎え、参画企業は14社(※)になっております。なお、カルネット コンソーシアムの詳細は、https://integriculture.com/product/ をご覧ください。

 

(※)カルネット コンソーシアムへの参画企業(14社、50音順、2024年5月14日現在)
インテグリカルチャー株式会社、A Laboratories合同会社、旭化成株式会社、株式会社荏原製作所、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社、住友理工株式会社、大和製罐株式会社、ナカライテスク株式会社、日本たばこ産業株式会社、株式会社浜野製作所に加えて4社

 

■勝手場
(英語名:”Open Cellular Agriculture Technology Transfer Ecosystem” Base:Ocatté Base)

勝手場は、細胞農業における食品原料資材や細胞農業における情報の提供を目的とした細胞農業者向けマーケットプレイスです。元来、勝手場とは、台所(キッチン)のことで、日本の食文化の基礎を築いた場所でもあります。本サービスは、世界中の誰でも台所で料理をするのと同じように培養肉を調理できる未来の実現、さらに、その先にある新たな食文化の開花を期待して「勝手場」と名付けました。

食品原料由来の培地を始めとする培養関係資材に加えて、培養肉の研究開発を進める中で蓄積された知見と経験は、本分野における検討・事業化を進めるためのキーエレメントになります。本サービスでは、これらの必須要件をいち早く開放・提供することによって、細胞農業に参画を目指す企業様が、よりスムーズに検討・事業を開始できるような環境の構築をサポートします。

 

 

【本件に関するお問い合わせ先】
インテグリカルチャー株式会社 お問い合わせ窓口
<info@integriculture.com>

受付担当 

事業開発部 支援事業チーム 鞆(とも)

事業開発部 共創事業チーム 波多野

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