月曜日, 11月 25, 2024
ホーム調査レポート「ソルガム」育成実験:土壌 vs 傾斜地、成長と害虫の影響を比較

「ソルガム」育成実験:土壌 vs 傾斜地、成長と害虫の影響を比較

耕作放棄地活用のため、西条農業高等学校とともに 「ソルガム」の育成実証実験を開始して2か月半。見えてきた課題。

 持続可能な社会の実現を目的に活動をしているNPO法人刀(愛媛県松山市)と西条農業高等学校が共同で実施している「ソルガム」の育成実証実験が、開始から約2か月半を迎えました。場所や植え方に応じた成長の違いをご報告いたします。 本実験は地域の農業の課題を解決し、元気にすることを目的としています。持続可能な作物のひとつである、乾燥に強く成長力が高い「ソルガム」に着目し、今後増加するであろう耕作放棄地を想定した有効な栽培方法や活用方法を調査しています。今後も、地域の農業振興に貢献するため、ソルガムの育成について、調査し発信してまいります。

耕作放棄地イメージ画像

■愛媛県は荒廃農地面積 全国3番目の広さ

 令和4年度農林水産省調査より、耕作放棄地の中でも農地への復元が難しい「荒廃農地」に関して、愛媛県は全国で3番目に多いことが分かっています。傾斜地や小さな島が多く効率的な農地集積が難しいことが原因のひとつとして挙げられますが、そのほか農業に携わる人材不足により農地管理が困難になっていることが考えられます。

私たちはそのような耕作放棄地を活用して、労働力を割かずに効率的に管理ができる方法を模索しています。


■①耕した土壌 と ②耕さずにばら撒いた傾斜地 では、発芽率と害虫被害に違いあり

①耕した土壌 (約1か月半経過)

穴を掘り、等間隔に植えた場所を踏み根張を良くした方。順調に成長しており発芽率は高い

・スポット撒き (等間隔に1~数粒ずつ撒く方法)
 他の雑草よりも背丈が大きく、60~80cmほどに成長しました。イネ科の植物でありながら、雑草に紛れず茎部分が太く真っすぐに伸びています。しかし、葉部分が害虫被害にあっているものと、暑さの影響か、葉の先端が枯れているものが見つかりました。

害虫被害状況:葉の先端が茶色く変色
害虫被害状況:害虫被害を受けた葉

穴を掘り、ばらばらに種を撒いた方 

・ばら撒き 

 他の雑草に紛れ、現状では区別が難しい状態でした。引き続き経過を観察します。

②耕さずにばら撒いた傾斜地 (2か月半ほど経過)

傾斜地全体

 発芽率は①に比べ低いように見受けられました。直播をした直後に大雨が降ったため傾斜地では流された可能性があります。

しかし、発芽しているソルガムの葉を確認すると、特に害虫被害もなく順調に成長しています。
②のソルガムは①のように害虫被害はなかったものの、周囲の雑草は害虫被害を受けていました。

雑草の間から発芽しているソルガム
害虫の被害を受けている雑草 

■その他

・ポットまき (ポットに種をまき、芽が生えたら土壌に戻す方法)
  1か月半ほど経過した後、①・②の2か所に移植。しかし、直播をしたものに比べ成長があまり見られませんでした。ポットまきをする際には、移植のタイミングを早める必要があります。

■まとめと今後の計画

 今回の経過観察では、周囲に雑草が生い茂っていても、植える場所や生える雑草の種類が異なることよる害虫被害の違いが観察できました。害虫被害に関しても、ソルガムの育成課題として、今後も引き続き観察を続けてまいります。

今後は、新たに肥料を使用して、比較実験を行う予定です。収穫予定は9~11月頃ですが、成長の度合いにより前後します。今後も引き続きソルガムの成長を観察し、西条農業高等学校と連携しながら実証実験を進めてまいります。


■組織概要

NPO法人刀は持続可能な社会の実現を目的に活動し、一次産業の新たなビジネスモデルを提唱し、一次産業と地域活性を推進していきます。

称号:NPO法人刀(エヌピーオーホウジンカタナ)

代表者:代表理事 松本 修一

所在地:愛媛県松山市土居田町504番地3

設立:2024年3月

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