【岐阜県高山市】飛騨の冬を彩る「花もち」作りが最盛期を迎えています
「花もち」は、⽊の株から出た枝に紅⽩のもちを巻きつけて花に見立てた、福を招くとされる縁起物です。諸説ありますが、農耕の神様にささげてその年の豊作を祝う行事「予祝儀礼(よしゅくぎれい)」が飛騨に伝わり、江戸時代には正月の縁起物として花もち作りが始まったのではないかと言われています。全国的には餅花(もちばな)と呼ばれる地域もありますが、飛騨地方では「花もち」として市民や観光客に親しまれています。大きさは手のひらに乗る15センチほどのものから3メートル前後のものまで大きさはさまざまですが、30センチほどのものが一般的です。
花もちは、お正月が終わってもひな祭りの時期まで飾っておき、枝から紅白の餅を取り除いて油で揚げ、雛あられとして食することもできます。
高山市江名子町にある「飛騨の花もち組合高山工房」では11月から生産が始まり、年末を迎える現在、最盛期を迎えています。工房では地元農家の女性10人ほどが、地元で収穫されたもち米で作った紅白の餅を細長く切り、花に見立てて木の枝にバランスよく巻き付けていきます。
花もちは数日から1週間ほど乾燥させたあと、工房内や朝市などで販売されるほか、岐阜、名古屋、東京、大阪の市場にも出荷されます。
工房責任者の中野富子さんは、「花もちを飾って明るい正月を迎えて欲しい」とお話されました。工房では12月25日頃まで花もちの製造が行われ、飛騨の風物詩として年の瀬を彩ります。
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地元の小学校での花もち作り
花もち工房の地元にある江名子小学校では、例年、総合的な学習の一環として、5年生が米作りから収穫までを行ない、収穫したお米を使って花もちを作ります。花もちは、日頃からお世話になっている地域の施設や米作りの講師などへプレゼントしています。
12月8日(金)、同工房の中野富子さんを講師にお迎えし、花もち作りを学びました。中野さんの指導のもと、紅白の餅を小さく切って枝にバランス良く付け、華やかな花もちが完成しました。
児童からは「花もちは見たことがあるけど、作ったことがなかったので楽しかった」「バランスよく枝に餅を付けることが難しかった」との感想があり、中野さんからの「今回の授業などを通じて、花もちの伝統を繋いで欲しい」とのお話を、真剣な様子で聞いていました。
これまで飛騨人が培ってきた飛騨の伝統文化が、未来を担う子ども達に着実に受け継がれています。
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