北海道漁業協同組合連合会のホタテガイ垂下式漁・桁網漁業がMSC漁業認証の2度目の更新審査を終え、引き続き持続可能で適切に管理された漁業の規格を満たすとして、認証の3期目に入ることが決定しました。2013年に初めてMSC漁業認証を取得して以来、10年間認証を維持しており、2度目の更新審査を完了したのは日本初となります。
更新審査はMSC漁業認証規格に則り、独立した審査機関であるLRQA社によって行われました。2023年2月から始まり、既定のプロセスに沿って現地訪問、パブリックレビュー、外部査読を経て、LRQA社により持続可能な漁業として認められました。
今回の更新審査では初回の更新審査の結果と同じく、全ての業績評価指標で成功事例とされる80点以上を獲得しており、申請者である北海道漁業協同組合連合会と各地区の漁業協同組合、管理者、研究機関が連携して漁場の環境、絶滅危惧種・保護種の情報収集や生息域の調査を行う改善を行ってきたことが評価されました。
北海道は国内のホタテガイ生産の約8割*を占める日本最大の生産地です。また、ホタテガイは日本から最も多く輸出されている水産物**であり、世界各地で消費されています。そのような世界的に重要な水産物の一つであるホタテガイの生産において、北海道漁業協同組合連合会および、北海道各地のホタテガイ生産者は早くからMSC漁業認証を取得し、持続可能な漁業のけん引に多大な貢献をしてきました。
申請者のコメント
北海道漁業協同組合連合会代表理事常務の山口重幸氏は次のように述べています。「北海道のホタテガイ漁業は、全道の漁業関係者を挙げてMSC漁業認証の取得と今日までの認証の維持に取り組んでまいりました。この度、国内では最多となる2度目の更新審査を終えMSC漁業認証を継続できましたことを喜ばしく思うとともに、安定した生産と認証維持のために取り組んでこられた生産者の皆様の並々ならぬ努力に感謝とお礼を申し上げます。MSC漁業認証は取得して終わりではなく、取得後も持続可能な漁業としての改善を重ねることが求められます。これまで全道の生産者、関係行政、研究機関等の連携によって実施してきた漁業改善や環境への取り組みが評価されたことは大変名誉なことであります。昨今の国内の水産資源をとりまく状況は決して明るいものばかりではありませんが、将来にわたり更なるホタテガイ漁業の発展のため、今後も組織を挙げて取り組んでいく所存です」
MSCのコメント
MSCジャパンのプログラム・ディレクター、石井幸造は次のように述べています。「10年という長期に渡り、持続可能な漁業としてMSC漁業認証規格を満たすためにご尽力を続けてこられた関係者の皆様に心から敬意を表します。認証をさらに5年、10年と継続していただけるよう、MSCジャパンとしても、国内外のマーケット拡大に向け、北海道のホタテガイ生産者の取り組みや、持続可能な漁業の重要性についてのさらなる認知向上に努める所存です」
*農林水産省 海面漁業生産統計調査 令和3年度漁業・養殖業生産統計
**水産庁 令和3年度水産白書
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/r04_h/trend/1/t1_1_4.html#i
MSC(海洋管理協議会)について
将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度と水産エコラベルを通じて、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際的な非営利団体です。本部をロンドンとし1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所を置き世界中で活動しています。MSCジャパンは2007年に設立。MSC「海のエコラベル」の付いた水産品は、2022年度には世界66カ国で20,000品目以上、日本では700品目以上が販売されました。国内ではイオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、マクドナルドなどで購入できます。
持続可能で適切に管理された漁業のためのMSC漁業認証規格は、世界で広く認知されており、最新の科学的根拠に基づき策定されたものです。FAO(国連食糧農業機関)とISEAL(国際社会環境認定表示連合)双方の要求事項を満たした世界で唯一の漁業認証プログラムでもあります。漁業がこの規格を満たすためには、(1)水産資源が持続可能なレベルにあり、(2)漁業による環境への負荷が最小限に抑えられており、(3)長期的な持続可能性を確実なものにする管理システムが機能していることを、第三者審査機関による審査を通じて実証することが求められます。
詳しくはMSCウェブサイトをご覧ください:https://www.msc.org/jp
MSC「海のエコラベル」について
MSCの厳正な認証規格に適合した漁業で獲られた水産物にのみ認められる証、それがMSC「海のエコラベル」です。