〜ウェルビーイングに取り組む三重県御浜町の新規就農促進プロジェクト〜
三重県御浜町は、町の主産業の一つであるみかん産地を持続可能なものとするため、その原動力となる農業後継者育成強化に取り組んでいます。2022年3月に町のタウンプロモーションサイト「青を編む」を立ち上げ、YouTube・TwitterなどのSNSを絡めた情報発信に力を入れて1年が経過しました。取り組み開始後、それまで年に数件だった問い合わせ件数が27件に急増、23年4月までに新規で9名の方が研修を開始し、この夏からさらに2名が研修をスタートする予定で、反響を呼んでいます。
「みかん、やったらええやん」を合言葉に、御浜町でのみかん就農が認知されてきたことから希望者が増加しており、取り組み以前と比較して研修開始人数は4.5倍に増え、現在も就農相談・農業体験などの問い合わせが続いている状況です。また、Iターン移住による研修開始は数年ぶりで、町の人口減少課題にも貢献する取り組みとなってきています。
研修を開始した9名の平均年齢は48才 (年齢幅は33〜58才)で、奈良県、兵庫県、京都府、愛知県、三重県津市からのIターン移住で6名、地元から3名となっています。
-
新規就農希望者の御浜町への移住経緯
愛知県名古屋市からIターン(ご夫婦) 2023年4月〜個人農家による研修開始
「数年前からライフスタイルを変えたいと思っていました。長い人生、定年後どんな仕事をしてどんな暮らしていくのか、どんな ”手に職”を身につけるべきか、このまま名古屋で暮らすのか、田舎へ移住するってどうなのか、を考えていました。
そんな中、以前訪れたことのあった御浜町のHPを見つけて『農業という道がある』ことを知りました。HP、YouTubeを見て、ここに住んでみかんをやってみたいと思うようになり、22年夏の就農フェアへ参加し、農林水産課の担当者と面談。その後2回農業体験に参加しました。HPに掲載されていた収入モデルもイメージが沸きやすかったけど、受け入れ先の農家さんに『言われた通りにちゃんとやれば、稼げるよ!』と言われて、目からウロコが落ちました。儲からないイメージがあったけど、農業もちゃんとやれば稼げるんだ、って。
昨今話題の移住トラブルも心配でしたが、発信する町の姿勢、役場担当・受入れ農家さんの対応が、きめ細やかで温かくて、人の良さに惚れ込み、迷いなく決めました。初めての田舎暮らしですが、自然に囲まれて、太陽を浴び、鳥の囀りを聞きながら体を動かす。もう、ストレスフリーです!」
兵庫県からIターン
2023年4月〜農業法人にて研修開始
「きっかけは、定年後どうする?→年金暮らし?自分で経営??→それなら農業だ!と考え出したことから。みかんが大好きだったこともあって、農業やるならみかんをやりたい!となり、他の農業と比べて肉体的・経済的にやっていけそうだったこと、そして初期投資が低いこともポイントとなり、みかんに決めました。
住み慣れた兵庫県、瀬戸内や関西圏の産地も候補でしたが、HPやYouTubeで知った御浜町に実際訪れて、「人の良さ」に惹かれました。「ぜひ来てほしい!」とウェルカムな町の姿勢と、良い事だけでなく大変な事も濁さずはっきりと伝えてくれた役場の方の対応は、他と比較した上で決め手になりました。
販売員の仕事から外で動き回る仕事になり、そして力仕事もあるので、毎日体がバキバキです!(笑)
接客業では多様な人と関わるので精神的に大変なこともありましたが、今は肉体的な疲労感はあるけど、断然ストレスフリーですね。家に出没する虫と戦いながら(苦笑)、愛犬も散歩が嬉しいみたいで海と山両方楽しめる御浜の暮らしを楽しんでいます。」
-
御浜町 柑橘農業の現状と課題
都会への人口流出・少子高齢化という日本全体が抱える社会課題。三重県御浜町も同様に、農家個数と農家人口は激減しており、担い手の高齢化も加速、新規就農者数で補完できていない状況が続いています。農家数減少に伴い生産量も減少し続けています。近年は8,000tあたりで推移しており、『6,000tを切ると産地としての市場価値が下がる』と言われています。言わばまったなしの状態で対応が急がれます。
一方、生産量は減少しつつも、9月から出荷の始まるこの産地特有で競争力の高い商品「味一号」により、全体生産額は上がっており、みかんを作る上で追い風も吹いている状態です。
-
1人からでもできる、きちんと稼ぐための新規就農を支えるサポート・就農支援制度
御浜町では、1人で管理出来る無理のないサイズの農地を持つことや、異なる品種のみかんを作り労力分散をすることで、一人でもできるみかん農家モデルを提案しています。収穫が集中する繁忙期はパートを雇う必要も稀にありますが、「1人でもやってみたい」「家族の中で自分だけが農業をしたい」といった今の時代ニーズに合わせています。もちろん、1人モデル以外にも多様なみかん農家の形があります。受け入れ側である町・農協・県が一人ひとりに合わせ、新規就農のサポートをしっかりと行っています。
また、農業体験や研修、就農に必要な資金調達の支援策など、農業に興味がある方の就農を後押しする様々な取り組みが実施されています。御浜町は、国で行われている一般的な就農支援に加えて、町独自の手厚い支援策を就農前から就農後まで受けることができるので、安心して農業をはじめることができます。
<就農支援制度に関する詳しい情報はこちらから>
https://mihama-mie-townpromotion.jp/mikan/mikan-article/8158/
-
ウェルビーイングな社会を目指して。「みかん、やったらええやん」と言い合える町づくり
「みかん、やったらええやん」
みかん農家が自信を持って子供たちに
「みかん農家になってみたら?」と言える町。
それは、みかん農家が、 みかん作りに幸せを感じ、
同時に誰かを幸せにしている実感があるから
ー御浜町 みかん農家の理念より
町の子供達や町外に住む出身者、都市部からの移住を希望される方に向けて、御浜町の農業が「夢のある仕事」として捉えてもらえるよう、農業のやりがいや面白さ、収益性などといった農業像を発信することで「御浜町における職業の大きな選択肢」となることを目指しています。
暮らしにおける幸せとは。仕事における幸せとは。
今話題の「ウェルビーイング」の価値観を、御浜町のみかん就農で感じていただくことができるのではないかー先に紹介した2組のコメントには、このことが表れています。
-
一人ひとりの状況に合わせてきめ細やかに対応
「農林水産課では持続可能な産地作りに取り組んでおり、就農希望者の相談を順次受付けています。このゴールデンウィークには、関東・関西・中京圏から3組の方が農業体験・移住相談に来町してくれました。
就農に関する希望内容・移住時期などはそれぞれ異なりますが、お一人おひとりの状況に合わせた対応をさせて頂いています。YouTubeやHPで御浜町での就農がどのようなものかできる限り紹介させて頂いていますが、些細なことでも、お気軽に問合せいただければ嬉しいです。」
御浜町とは
紀伊半島、本州ほぼ最南端の太平洋沿いの町、三重県御浜町。
海岸沿いには、約25kmに渡る七里御浜や、祈りの路、世界遺産「熊野古道伊勢路」。海の巡礼道・浜街道、山の巡礼道・風伝峠、横垣峠の三つの熊野古道など、人々の祈りの歴史の足跡があります。
温暖多雨な気候と、みかん栽培に適した水はけの良い土壌が、一年を通して、様々な種類のおいしいみかんを育み、「年中みかんのとれるまち」として親しまれています。その気候と丸いみかんのおかげか、人も穏やかで温かい町です。
■御浜町タウンプロモーションサイト
ー熊野の海の「青」と山の「青」が出会う町ー
https://www.mihama-mie-townpromotion.jp/
■御浜町YouTubeチャンネル
「 三重県御浜町 – Mihama Town 」
みかん農家のインタビュー動画を始め、御浜町の魅力が詰まった映像を紹介しています