月曜日, 11月 25, 2024
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循環型の食料生産に向けてコオロギ飼育残渣の肥料効果を検証、「コオロギフラス」の農業肥料活用を目指した実証実験

2022年6月より世界農業遺産認定地域の農園「田口農園 徳島」で実施中

 徳島大学発のベンチャー企業として、食用コオロギに関連する品種改良・生産・原料加工・商品開発・販売を一貫して国内で行う株式会社グリラス(本社:徳島県鳴門市、代表取締役:渡邉 崇人、以下「グリラス」)は2022年6月より、徳島県の世界農業遺産「にし阿波の傾斜地農耕システム」認定地域内にある「田口農園 徳島」と共同で、コオロギの飼育過程で発生するフラス(コオロギの排泄物)の有機肥料としての実用化をめざす実証実験を進めています。

 また2023年3月には中間報告として記者発表会を実施し、実証実験を通して判明したコオロギフラスの肥料効果を公開しました。

 今後はさらに実証における協業先を拡大すると共に、食品ロスを餌として育てたコオロギと、コオロギフラスを有機肥料として活用した農業生産が実現する、循環型の食料システムに向けた実地データの収集を強化していきます。

 

 

 

 

 

 

循環型の食料生産に向けてコオロギ飼育残渣の肥料効果を検証、「コオロギフラス」の農業肥料活用を目指した実証実験のサブ画像1_左:田口農園 徳島、右:コオロギフラス左:田口農園 徳島、右:コオロギフラス

  • 実証実験の背景と目的 

 グリラスは「タンパク質危機」と「食品ロス」、「食料の輸入依存」といった社会課題の解決を目指して、環境負荷の低いタンパク源である食用コオロギを、食品ロス由来100%の独自配合飼料で国内生産してきました。

 しかしこれまでは、コオロギの飼育過程で発生するフラスの活用は進んでおらず、生産したコオロギパウダーの約5倍の量に及ぶフラスが廃棄されていました。

 本実証実験ではこのような背景から、コオロギフラスを農業用肥料として活用した際の作物の生育状況をはじめとした実地データの収集を行っています。またフラスの実用化を通して、食品ロスと食用コオロギ、農産物をつなぐ循環型の食料システムの構築を目指しています。

循環型の食料生産に向けてコオロギ飼育残渣の肥料効果を検証、「コオロギフラス」の農業肥料活用を目指した実証実験のサブ画像2_コオロギフラスの実用化を通して目指す循環型の食料システムコオロギフラスの実用化を通して目指す循環型の食料システム

  • 実証実験を通して判明したコオロギフラスの特徴

 コオロギフラスは、肥料の三大要素である窒素・リン酸・カリウムのうちリン酸を最も高い割合で含んでおり、全体の成分を見ると牛糞と鶏糞の中間程度の肥料効果が期待できます。また、水分含有量が少なく乾燥処理が不要であり、匂いも少なく、保管や取り回しが容易です。

 さらに、グリラスの食用コオロギは国内で発生した食品ロス由来100%の配合飼料を用いて飼育されているため、コオロギフラスはコオロギの餌も含めて国内資源で生産ができます。加えて、コオロギは飼育過程で抗生物質などの添加を行っていない動物医薬品・飼料添加物フリーの有機肥料です。

循環型の食料生産に向けてコオロギ飼育残渣の肥料効果を検証、「コオロギフラス」の農業肥料活用を目指した実証実験のサブ画像3

牛糞・鶏糞データ参考値:家畜ふん堆肥適正施用の手引き,岡山県農林水産部(2014)
コオロギフラス分析値:(株)環境研究センター(2022)
 

  • 実証実験の結果

 2022年6月より、徳島県内の世界農業遺産「にし阿波の傾斜地農耕システム」認定地域内にある「田口農園 徳島」とキャベツ・カボチャ・ほうれん草の生育試験を実施し、従来品と同程度の生育結果が見られたことから、既存の有機肥料と類似した効果が期待できると判明しました。

 今後はコオロギフラスの最適な使用法や相性の良い作物に関する知見を蓄えるべく、実証実験を拡大し、さまざまな品目で生育試験を行うことで、実用化に向けた実地データの収集を進めます。
 

  • 実証実験の協力機関

・田口農園 徳島


 江戸時代から約300年の歴史をもつ農家として、通年で約100アイテムの農産品を直売所に出荷。国連食糧農業機関(FAO)が提唱する、世界農業遺産に認証された「にし阿波の傾斜地農耕システム」を継承し、標高約400mの急峻な山間部の地形を活かした農法と、有機肥料、省農薬化を図った持続可能な農業に取り組む。

 田口農園では、64品目の農産物および加工品が世界農業遺産「にし阿波の傾斜地農耕システム」ブランドに認証され、ブランド認証要領第5条の規定に基づき栽培管理を行う。

HP:https://taguchinouen-tokushima.com/

循環型の食料生産に向けてコオロギ飼育残渣の肥料効果を検証、「コオロギフラス」の農業肥料活用を目指した実証実験のサブ画像4_田口農園 徳島田口農園 徳島

 

 

  • 食用コオロギ関連事業について

 2019年6月に国連より発表された報告書によると、今後30年で世界人口は97億人への増加が見込まれ、これに伴う食料問題への対応が課題となっています。特に「タンパク質危機」と称される動物性タンパク質の不足は顕著で、その解決策として国際連合食糧農業機関は昆虫食を推奨しています。昆虫は既存畜産と比べてタンパク質の生成に必要な餌や水の量が少なく、資源の有効活用が可能です。また温室効果ガスの排出量も少なく、環境負荷の低いタンパク源といえます。

 一方で世界では年間約9.3億トンの食品ロスが発生しており、その量は全世界で生産されている食品の約3分の1に相当します。コオロギは雑食性のため餌の制限が少なく、グリラスでは国内で発生した食品ロス由来100%の餌でコオロギの飼育を行っています。これらの特徴からグリラスは、捨てられるはずの食品ロスを新たなタンパク質へと循環させることのできる食用コオロギを“サーキュラーフード”と位置付けて、食用コオロギ関連事業を行っています。

※食用コオロギ関連事業の詳細はこちら(https://gryllus.jp/why-cricket/
 

  • サーキュラーフードについて

 サーキュラーフードとは、持続可能な社会の実現にあたり環境負荷の低減をめざし、かつ食品ロスを主要原料として活用すべく開発された新技術を用いて生産された、循環型の食材及び食品のことを指します。国内で発生した食品ロスに由来するサーキュラーフードの普及は、SDGsのターゲット12.3や、食料安全保障への寄与が見込めます。

 またグリラスは、サーキュラーフードの推進を通じて、2040年までに国内における年間253万トンの食品ロスの活用・循環をめざす「サーキュラーフード推進ワーキングチーム」の幹事企業です。

※サーキュラーフード推進ワーキングチームの詳細はこちら(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000070046.html
 

  • グリラスオリジナルブランド「C. TRIA」について

 グリラスはサーキュラーフードをコンセプトとした自社ブランド「C. TRIA(シートリア)」を展開しています。これまでに「2021年日経優秀製品・サービス賞 日経産業新聞賞」を受賞した2種を含む商品を複数開発し、現在は小売向け商品としてプロテインバーとコーンスナックをコンビニエンスストア等にて販売しています。

※商品の詳細はこちら(https://gryllus-online.jp/
 

  • 株式会社グリラスについて

 グリラスは、徳島大学における30年に及ぶコオロギ研究を基礎とした、世界でトップレベルの知見やノウハウを持つフードテックベンチャーです。徳島県美馬市の2つの廃校をそれぞれ生産拠点・研究拠点として整備し、食用コオロギに関連する品種改良・生産・原料加工・商品開発・販売を一貫して行っています。

・社名     :株式会社グリラス(https://gryllus.jp/
・事業内容   :⾷⽤コオロギの⽣産
         ⾷⽤コオロギを⽤いた⾷品原材料および加⼯⾷品の製造、販売
         ⾷⽤コオロギの研究開発 等
         動物用コオロギの生産、販売 等(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000070046.html
・代表取締役  :渡邉 崇人
・所在地    :徳島県鳴門市撫養町黒崎字松島45-56
・生産拠点   :徳島県美馬市美馬町字南原22-1
・研究拠点   :徳島県美馬市美馬町字入倉657
・資本金    :5億2,210万円(資本準備金等を含む)
・設立     :2019年5月

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