共和水産株式会社(鳥取県境港市)と明豊漁業株式会社(宮城県塩釜市)の共同グループが、MSC漁業認証取得のための審査に入りました。審査の対象は中西部太平洋で操業するカツオとキハダマグロのまき網漁業で、4つの船団が審査に入ります。これらの漁船による2021年の漁獲量はカツオ約15,400トン、キハダマグロ約4,100トンでした。
このグループは公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)の支援のもと漁業認証の審査入りに向けて準備を進めてきました。複数の漁業会社から成るグループがMSC漁業認証に申請するのは国内では初めてのケースです。また、日本船籍のまき網船がMSC漁業認証の審査に入るのも初めてのことです。
世界ではマグロ・カツオ類を対象とする漁業のMSC漁業認証取得が加速しており、MSC認証のマグロ・カツオ類の総漁獲量は、2017年度には100万トン未満であったのに対し、2021年度にはほぼ200万トンという記録的な水準に達しました。この背景には小売大手や水産大手企業が持続可能なマグロ・カツオ類に限定した調達を公約に掲げる動きがあります。
申請者のコメント
共和水産株式会社 代表取締役社長執行役員 前橋知之氏
「漁業者にとって水産資源の持続性は事業の存続に関わる重大事です。地球環境の変化への対応が強く意識されるなか、操業が環境に及ぼす影響は漁獲対象魚のみならず生態系全体を視野に入れる必要があることを痛感します。MSC漁業認証の審査を通じて自ら果たすべき責任を再認識し、運営を磨き、持続可能性を確実なものとすべく貢献したいと考えています」
明豊漁業株式会社 代表取締役 松永賢治氏
「漁業者として、貴重な水産資源を後世へ受け継ぐ責任があります。鰹一本釣船に続き、海外まき網船もMSC漁業認証を取得することにより、持続可能な漁業にこれまで以上に貢献できるよう、全社一丸となって精進してまいります」
審査機関について
今回の審査は、第三者の審査機関であるSCS Global Services社により行われ、対象魚種に関しての資源の持続可能性、漁業が生態系に与える影響、漁業の管理システムが評価されます。この審査に関してパブリックコメントの送付や現地訪問への参加を希望するステークホルダーの方は、 MSCstakeholders@scsglobalservices.com までお問合せください。
MSC(海洋管理協議会)について
将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度と水産エコラベルを通じて、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際的な非営利団体です。本部をロンドンとし1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所をおき世界中で活動しています。MSCジャパンは2007年に設立。MSC「海のエコラベル」の付いた水産品は、2021年度には世界62カ国で20,000品目以上、日本では500品目以上が販売されました。国内ではイオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、ライフ、マクドナルドなどで購入できます。
持続可能で適切に管理された漁業のためのMSC漁業認証規格は、世界で広く認知されており、最新かつ確実な科学的根拠に基づき策定されたものです。FAO(国連食糧農業機関)とISEAL(国際社会環境認定表示連合)双方の要求事項を満たした世界で唯一の漁業認証プログラムでもあります。漁業がこの規格を満たすためには、(1)水産資源が持続可能なレベルにあり、(2)漁業による環境への負荷が抑えられており、(3)長期的な持続可能性を確実なものにする管理システムが機能していることを、第三者審査機関による審査を通じて実証することが求められます。
詳しくはMSCウェブサイトをご覧ください:https://www.msc.org/jp
MSC「海のエコラベル」について
MSCの厳格な認証規格に適合した持続可能な漁業で獲られた水産物にのみ認められる証、それがMSC「海のエコラベル」です。