環境に配慮した持続可能な漁業と水産物に関するMSC(海洋管理協議会)の国際規格が、世界の生物多様性の減少という危機的状況に対する取り組みを科学的に測定する方法のひとつとして国連の生物多様性条約締約国会議(COP15)で認められました。
MSC認証取得漁業による漁獲量およびサプライチェーンに関する3つのデータは、「昆明・モントリオール世界生物多様性枠組」の2つのターゲットに関連した公式指標となりました。ターゲットのうちの1つは生物の持続可能な管理と取引に関するものです。もう1つのターゲットは生物多様性の価値の経済への統合に関係しています。補完指標は各国政府がこれらのターゲットについて進捗を測る際に使用されます。
国レベルでの行動と成果を信頼できる指標で測定することは、この新たな国際合意の成功を確実にする鍵となるものです。MSC漁業認証規格を満たした漁業は、魚介類の健全な個体数を維持し、混獲や絶滅危惧種・保護種、海洋生態系への影響を最小限に抑えている漁業です。
MSCのデータが指標として認められたことは、生物多様性の維持にMSCプログラムが貢献していることの証左です。生物多様性条約(CBD)の締約国によって策定、協議されたこの新しい合意は、2030年までに生物多様性の損失を阻止し、2050年までに回復させることを目標にしています。
MSCの最高責任者であるルパート・ハウズは次のように述べています。
「MSC認証が国連の新たな生物多様性枠組で認められたことを大変誇りに思います。このことが示すのは、MSC認証取得漁業が環境への影響を理解し、持続可能性を確実なものにしたうえで必要な改善を行うために多大な努力を払っていること、そして、その努力を認め、それに報いるサプライチェーンの役割です。
生物多様性に関する国際的なこの合意は大きな成果です。今後の課題は、公約を実際の行動に確実に合致させることです。MSC認証は、何十億もの人々に食料と生計を保障しながら、海の豊かさを守るために取り組む世界中の企業や政府に対して信頼できる指標を提供しています」
MSCプログラムは、持続可能な漁業を奨励することによって、健全な海洋生態系を支えるものです。こうした努力を認め、報いるのは、持続可能な漁業の必要性に対する消費者意識の高まりに応えるために、MSC「海のエコラベル」を付けた持続可能な認証水産物を販売する小売業者や水産企業の取り組みです。
MSC(海洋管理協議会)について
将来の世代まで水産資源を残していくために、認証制度と水産エコラベルを通じて、持続可能で適切に管理された漁業の普及に努める国際的な非営利団体です。本部をロンドンとし1997年に設立され、現在は約20カ国に事務所をおき世界中で活動しています。MSCジャパンは2007年に設立。MSC「海のエコラベル」の付いた水産品は、2021年度には世界62カ国で20,000品目以上、日本では500品目以上が販売されました。国内ではイオングループ、生協・コープ、セブン&アイグループ、ライフ、マクドナルドなどで購入できます。
持続可能で適切に管理された漁業のためのMSC漁業認証規格は、世界で広く認知されており、最新かつ確実な科学的根拠に基づき策定されたものです。FAO(国連食糧農業機関)とISEAL(国際社会環境認定表示連合)双方の要求事項を満たした世界で唯一の漁業認証プログラムでもあります。漁業がこの規格を満たすためには、(1)水産資源が持続可能なレベルにあり、(2)漁業による環境への負荷が抑えられており、(3)長期的な持続可能性を確実なものにする管理システムが機能していることを、第三者審査機関による審査を通じて実証することが求められます。
詳しくはMSCウェブサイトをご覧ください:https://www.msc.org/jp
MSC「海のエコラベル」について
MSCの厳格な認証規格に適合した持続可能な漁業で獲られた水産物にのみ認められる証、それがMSC「海のエコラベル」です。