わずか5時間で堆肥化する高速処理で畜産農家の効率経営を支援、資源循環型社会の実現にも貢献
1. 開発の経緯―畜産経営を苦しめる敷料高騰
肉牛の肥育に不可欠な敷料(牛の寝床に敷き、牛体の損傷を防ぐ)は、一般におが粉などの木材原料が使われます。これらの国内調達は難しく、これまでは輸入に頼っていたものの、近年は世界的な木材不足によって価格高騰が顕著です。この「ウッドショック」に加えて、木質バイオマス発電用燃料の需要増大や新型コロナウイルス感染拡大による物流縮小等も相まって、供給量減少が長期化しています。
そのような状況下、生産者は代替敷料の確保に頭を悩ませ、経営への影響が深刻です。この敷料不足を解決するために、JETでは糞尿を発酵乾燥させ、高速で敷料を生成することに成功しました。現在では国内5ヶ所の施設に採用されています。
2.事業者の導入経緯―国内初、肉用施設での稼働
2020年9月、北海道で肉牛の一貫肥育を営むエフシーエスに、急速土着菌増殖乾燥システム「ERS」を導入しました。糞尿を資源化して敷料に有効活用することで、敷料購入費用の削減はもちろん、悪臭や汚水を出さずに自然環境保全を推進しています。
4,800頭の肉牛を飼育するエフシーエスは、年間に約6,000トンものおが粉を要し、その3分の1以上を海外から調達するも、費用は約1億2,000万円にのぼり経営を圧迫していました。また、冬場は屋外に積み上げた糞尿が凍ってしまい春先まで発酵を待たなければならず、強烈な悪臭もつきものでした。ERS導入後は、敷料を内製化し、年間5,000万円のコスト削減、堆肥化は気温に左右されることなく1日で処理を終え、すぐに敷料として使えるようになりました。
また、北海道では、家畜糞尿に向けられる苦情の8割強を汚水と悪臭が占めています。加害者・被害者が明確である畜産公害、いわゆる点源汚染に加えて、非点源汚染も広域的に進んでいる可能性が高い状況です。そこで、畜産業界においては、家畜糞尿による汚染の低減に積極的な取り組みが求められています。
<藤原社長コメント>
「糞尿にはずっと頭を悩ませてきた。大きな一歩」
(2020年11月8日北海道新聞掲載記事より引用)
「バイオガス発電は消化液などの処理に課題もあると聞き、土壌など環境に負荷をかけない同システムを導入した」
(2020年10月16日日本農業新聞掲載記事より引用)
「運転コストや償却費などを差し引いても十分な経済効果が期待できる。規模の大小にかかわらず酪農畜産業界は環境への社会的責任もある」
(2020年10月16日日本農業新聞掲載記事より引用)
<実績概要>
導入機器 | 急速土着菌増殖乾燥システム「ERS」(5型) |
処理物/成果物 | 肉牛糞尿/敷料 |
処理能力 | 28トン/日 |
設置面積 | 約320平方メートル |
事業者 | 農業生産法人 株式会社エフシーエス |
所在地 | 北海道川上郡 |
頭数 | 約4,800頭 |
導入前敷料購入費 | 約1億2,000万円/年(おが粉約6,000トンの購入) |
導入後コスト削減 | 約5,000万円/年 |
整備費 | 3億5,000万円(自己資金) |
3.敷料生成装置の特長―発酵乾燥という新たな技術に集まる注目
当社の開発した敷料生成装置は、土着菌(好気性菌)と減圧相装置との組み合わせにより、家畜の糞尿を超高速発酵乾燥して団粒化します。これにより堆肥化の期間を圧縮、堆肥場所の用地縮小が可能です。また、乾燥後の成果物は敷料として畜舎内でリサイクルし、有機肥料として土壌還元することができます。
本システムには糞尿を個液分離することなくそのまま投入でき、水分率を調整します。さらに、微生物がアンモニアを分解して臭気を抑止、大腸菌は死滅し、雑草などの種子は不活化します。畜産農家は、敷料調達やコスト削減のみならず、消化液等による環境負荷の軽減にも貢献することができます。
<主なメリット>
- 費用削減: 敷料の内製化により外部調達費用を削減
- 期間圧縮: 堆肥化に費していた3か月が5時間に短縮、季節不問、寒冷地可
- 事業拡大: 経済効果や、不要になった堆肥舎や貯蔵施設の用地を利用し、増頭増設が可能
- 環境貢献: 糞尿の臭気軽減や、汚水による土壌汚染防止の効果
4.販売価格
参考価格 350,000,000円~(税別)
装置一式(処理能力25~30トン/日 ERS5型)
クラスター補助金実績あり
5.今後の導入予定
・ 長崎県 肉牛 補助金事業 25~30トン/日処理(ERS5型1基導入) 設置工事中
・ 北海道帯広市 肉牛 自己資金 8トン/日処理(ERS3型1基導入) 設置工事中 他
6.株式会社JET
会社名: 株式会社JET
所在地: 東京都千代田区一番町19 全国農業共済会館
代表者: 代表者 名塚 元臣
設立: 平成25年8月
事業内容: 急速土着菌増殖乾燥システムに関する以下の事業
・開発・製造・販売・輸出入・管理
・適用・導入に関するコンサルティング
・原料の輸出入
資本金: 50,000,000円
ホームページ: https://jet-e.jp/
7.お問い合わせ先
株式会社JET
〒102-0082 東京都千代田区一番町19 全国農業共済会館
管理部 広報担当:松本
TEL:03-6384-5691 e-mail:info@kotowas.co.jp
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弊社広報でもお手伝いいたします。