サステナブルな飼料と養殖を通じて、地域社会の発展を目指します
※1 養殖魚用飼料に含まれる魚粉の割合を少なくして作製された飼料のこと
多気町、中部プラントサービス、ユーグレナ社の3者は、2019年3月1日に、地域産業の振興と町民生活の向上を図り、地域社会の発展に寄与することを目的として、多気町での地域産業開発に関するコンソーシアムである「もっとバイオ多気」を設立※2しました。コンソーシアム設立に際して3者は、木質バイオマス発電所の排熱などの未利用エネルギーや町内の未利用資源、そして微細藻類を活用し、新たな多気ブランドの開発を目指して陸上での魚介類養殖等の実証試験を共同で実施することを発表しました。今回、その成果として、「多気サステナブルサーモン」を開発しました。
※2 2019年3月1日リリース https://www.euglena.jp/news/20190301/
<多気サステナブルサーモンの特徴>
生産地:三重県多気郡多気町、岐阜県大垣市
餌(多気ブランド飼料):多気町産原料(ユーグレナ、松阪牛牛脂、酒粕、米ぬか、伊勢芋、伊勢茶、ミカン、次郎柿、アメリカザリガニ)を配合した低魚粉飼料
養殖方法:陸上養殖 閉鎖循環式(多気町)、地下水かけ流し式(石井養殖(岐阜県大垣市))※3
種類:ニジマス
※3 陸上養殖は、生け簀の水の使い方の違いによって大きく「閉鎖循環式」と「かけ流し式」に分けられる。閉鎖循環式は水槽の水を常にろ過しながら再利用するため、環境への負荷が少なく、また設置場所の制約がないため、近年注目を集めている
今回開発した多気ブランド飼料は、多気町で生産したユーグレナの配合によりタンパク質源を多様化することで、魚粉使用量を一般的な市販飼料よりも低く抑えています。養殖生産は世界規模で年々伸びていますが、養魚用飼料では、天然魚を主成分とする魚粉が重要なタンパク質源として使用され続けています。持続的な養殖業の発展のためにも飼料の魚粉依存を減らすことが急務となっており、飼料の低魚粉化は、SDGs「GOAL14:海の豊かさを守ろう」への貢献につながります。また、副産物や規格外品としてこれまで未利用のまま廃棄されていた多気町産の伊勢芋、酒粕、松阪牛牛脂、米ぬか、ミカン、次郎柿、伊勢茶などを、脂質、ビタミン、ミネラル等の供給源として配合しています。多気町に広く生息しているアメリカザリガニは生態系への影響が懸念される外来生物であり、本種の飼料利用により摂餌刺激や色揚げ等の効果が期待できる他、環境保全にも貢献します。
飼料の低魚粉化、多気町の未利用資源の活用、外来生物の有効利用、環境負荷を軽減した育成方法という観点でサステナブルであることから、今回、本コンソーシアムで育成したニジマスを「多気サステナブルサーモン」と名付けました。多気サステナブルサーモンは、閉鎖循環式(多気町)と地下水のかけ流し式(岐阜県大垣市)の両方の方法で育成しました。
なお、多気ブランド飼料で育成したニジマスは、市販飼料を与えた時よりも、苦味雑味※4や旨味が上昇する傾向が示されています。魚の成長と肉質の両面でより優れた飼料に仕上げるため、今後とも多気ブランド飼料の改良に取り組んで参ります。
※4 苦味雑味は味の複雑さの指標であり、コクのある食品で高い数値となる
多気サステナブルサーモンは、三重県立相可高等学校が運営する高校生レストラン「まごの店」※5(多気町)で提供される予定です。
※5 まごの店は三重県多気郡多気町にある五桂池ふるさと村内に設置されているレストラン。三重県立相可高等学校の高校生が運営している。通称、高校生レストラン。多気町が設置した施設であり、教育実習施設としての役割も果たしている
そして、2021年8月31日に、多気町の久保行央町長およびユーグレナ社の出雲充代表取締役社長は、三重県の鈴木英敬知事を表敬訪問(オンライン)し、今回の取り組みについて報告しました。鈴木知事からは、「大変素晴らしい成果物の紹介に感銘を受けた。今回の多気サステナブルサーモンは、プロセス、成果、すべてにおいて高い評価を得られるものと思っている。相可高等学校調理クラブの皆さんが作った多気サステナブルサーモンを使ったお弁当を食べたが、さっぱり食べやすく大変美味しかった。素材の力を感じた。今回新しい三重県の特産品が生まれた、今後広めていきたい。」とコメントいただきました。
ユーグレナ社は今後も、研究の発展により地球や社会が持続可能になるためのサステナブルテックを今後とも推進していきます。
<まごの店>
商品名:花御膳(多気サステナブルサーモンを使った小鉢を提供)
価格 :1,600円
発売日:営業再開後
場所 :三重県多気郡多気町五桂956 五桂池ふるさと村施設内
多気サステナブルサーモンの水揚げの様子
●「サステナブルテック」とは
生活者のサステナビリティ(持続可能性)への関心・認知は日々向上してきていますが、地球環境・社会状況のニーズに反比例して技術・研究におけるサステナビリティ推進は十分とは言えません。いま、よりサステナビリティを重視したテクノロジーの高次元化に取り組み、各分野への展開を目指すことが求められています。「サステナブルテック」とは、知識の実用化や経済性の向上など産業革命以来の従来技術に加えて、環境負荷の低減や、貧困や栄養問題解決、健康寿命延伸といったサステナビリティを伴うイノベーションを創出し、地球の未来を考え、誰も・何も取り残さない、社会課題解決のための技術を指します。
<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の生産に向けた研究、遺伝子解析サービスの提供を行っています。また、2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、2019年4月より化粧品を含む全グループ商品に拡大。2012年12月東証マザーズに上場。2014年12月に東証一部市場変更。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開。https://euglena.jp